誉田 哲也『シンメトリー』

シンメトリー

シンメトリー

警察小説のシリーズとしては可もなく不可もなくって感じで安定期に入ったなという印象なのですが、それがこのシリーズの持ち味の一つであるってのは分かってるつもりなんだけど、なんかだんだん主人公の女刑事の目線というか自意識がムカついてきた。この姫川玲子ってキャラクターには同じ女として“むかつくけど分かるわー”って共感できる部分がないことにようやく気がついた。自分を値踏みする男どもの視線や言動を「わたしがいい女だから仕方ないわね」って解釈してんのはいいの、別に。もしかしたらそんな風に思われてないかもしれないのに随分と自分に自信があるんですねーってニヤニヤすればいいわけだから。でも同性、それも容姿が自分より落ちる同性に対する見下しっぷりが腹立たしい。女という生き物は、どんな女であれ根底にはみんなライバルって意識を持ってる難儀な生き物なので、常に他者(同性)と自分を比較して勝ったとかクソ負けてるっ・・・!って思ってるものなんだけど、そこを描く上での微妙なさじ加減って女ならではなところがあるんだよな。これ例えば桐野姐さんとか柴田よしきとかだとまた違うんだけどな。これで誉田さんが女だったら笑っちゃうんだけど、違いますよね?