乃南 アサ『いつか陽のあたる場所で』

いつか陽のあたる場所で

いつか陽のあたる場所で

人には言えない、知られたくない過去を背負って下町・谷中でひっそりと新生活を始めた芭子と綾香。一見対照的な二人は支えあいながら日々を送る。


30前後の女とそれより一回り上の女の物語で、 “普通の女”とは間違ってもいえない過去を持つ二人なんだけどでもやっぱり“普通の女”が、はたからみれば底辺の暮らしなんだろうけどそれでもささやかな幸せを感じたりときめきを覚えたりする一方で不安を感じたり辛く悲しいことがあったり、“普通に”浮き沈みしながら希望・目標を求める4編からなる連作短編集。
一歩間違えばというか書きようによっては相当陰鬱な物語になりそうですが、特に綾さんこと綾香のキャラが抜群にいいのでカラっとした気分で読めました。二人の掛け合いも女ならではなところがあるし、途中芭子の未来の不確かさに共感しまくってしまい、泣きそうになったりもしましたが・・・面白かったです。
読んでる途中でふと思ったのですが、女二人って珍しい?女三人は結構あるような気がするんだけど、女二人の話と言われるとすぐ思い浮かばないなぁと。
芭子になれなれしく声をかける警官の名前に覚えがあるなぁ・・・と思ったら、あれじゃん!おじいちゃんおばあちゃんと事件解決する話の警官じゃん!!って気付いてちょっと嬉しくなりました。あれって確か等々力交番?とかだったと思うんで、異動があったということか。栄転なのか左遷なのかどっちだろう・・・。