- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/10/06
- メディア: 単行本
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うわー、それなりに期待してただけに、このガッカリ感は相当なものだわ・・・。前作が話題になり、私も結構楽しめた理由は“医療ミステリ風”エンターテイメントだったからだと思うのです。ポイントは医療とミステリ風ってとこ。どっちも土台の部分がしっかりしてる上に両者が結びつく説得力があって、なおかつエンターテイメント性もあったから面白かったのだと思う。それなのに今回は、起こった事件と医療は直接結びつかない。単に病院に勤務する人物と患者が起こした事件というだけで、そこに白鳥が絡むのは無理やりすぎじゃないだろうか。トリックはトリックとは言えないレベルだし、おまけに神秘的な歌姫まで登場させちゃって、前作も決してリアリティがあるというわけではなかったけど、今回は完全にファンタジーの世界ですからね。現役医師が書いてるものだしああいうことってあるのかもしれないけど、妙に飾ってるからうそ臭く思える。同時に読んだ螺鈿迷宮でも感じたんだけど、バチスタの文章はもっと簡潔だった気がするんだよな(会話パート除く)。ていうか無理してアリバイとか出さなくていいのに・・・。相変わらず田口と白鳥のやりとりは面白いし、医師たちも思いっきり分かりやすくデフォルメされてるからとっつきやすいし、そこらへんは上手いと思うので、ミステリはスパイス程度の医療エンタメ小説で全然いいと思うんだけど。無理にミステリに拘らなくていいのに・・・。