海堂 尊『極北クレイマー』

極北クレイマー

極北クレイマー

姫宮シリーズといえばいいのでしょうか。姫宮の口から白鳥や田口を思い浮かべた描写は出てきますが実際には二人の登場はありません。世良がなんだかすごい肩書き引っさげて登場し、速水や清川など過去作品の主要人物がカメオ登場し、斑鳩やマリア・クリニック等もキーワードとしてチラっと出てくるので完全にシリーズ読者向けです。まぁ過去作品を一つも読まずにいきなりこれを手に取る人はいないでしょうが。シリーズ全体で見てみると、マリア・クリニックの補完と速水のその後の様子、あと医療ジャーナリストを自称する謎の女と通称・北の土蜘蛛こと南雲というあらたなクセ者が登場したことが収穫かな。この作品単体としては地方の医療問題を軽く取り上げてみましたぐらいのもんなので可もなく不可もなくといったところ。相変わらず登場人物にヘンなニックネームをつけるセンスはどうかと思いますが、後藤というキャラは結構よかった。多分この先出ることはないと思うけど。