矢野 龍王『時限絶命マンション』

時限絶命マンション

時限絶命マンション

お金の使い方を考えたほうがいいよ?と今回ばかりは本気で自らにいい聞かせたい。なんでこんなの買ってんの自分?「だって悪魔人形って言葉に惹かれちゃったんだもの・・・。」「ページパラパラめくったらかわいいクマみたいなマークとかわいいドクロマークが目に入っちゃったんだもの・・・。」っていくら自分に言い訳しても、この時間の無駄さ加減はどうにもなんない。いくら私みたいな馬鹿が買うからってさ、こんなの出版する側もおかしいと思うよ。

以下ネタバレあります

帯に書いてあるマンション内バトルロワイヤルっての、バトルロイヤル方式って意味でのバトロワなのかと思ったら、マジでマンション版バトロワ以外の何物でもなかった。

催涙ガスで眠らされ、目がさめたら首には銀の首輪が
・制限時間が来たり、マンションから外に出ると首輪が爆発
・早々と自殺をするカップル(この場合、老夫婦)
・他人を犠牲にしてまで生き残る理由があるんだろうかと悩む主人公
・たまたま主人公が殺人行為を行った瞬間を女子が目撃
・たいしたこともしてないのに主人公が生き残りましたー。

そんな感じ。
前作に引き続いて、各登場人物の背景は全く生かされません。一応、それぞれの家庭環境や仕事なんかの要素は与えられてるんだけど、全くもって関係なし。そういうのを生かそうっていう気持ちはないみたいですね、この人。
悪魔人形たらい回しってのも、住人同士が争う理由にはなってるけど、肝心の「時限」がそれほど生かされず。結局時間に関係なく、ほとんどマンションの外に落ちて死んでるし、バトロワで言ったらみんな禁止エリアに押し出されて死んじゃったってことだもん。ほとんど相撲状態。玄関はがっちり固めてるのに、ベランダはノーガードって何だよそりゃ。せっかくいっぱい人が死ぬんだから、もっとバラエティに富んだ死に方させろっての。それがバトルロイヤル小説の命じゃないか。
最初に書いたように人物は描けてないし、トリック(というほどのもんじゃないけど)や動機の解明も中途半端。まだデビュー作のほうがマシだった。はるか記憶の彼方だけど。
麻生って人は仲間じゃなかったの?兄貴の足の怪我は結局なんだったの?管理委託契約を解除したら主人公が自ら管理することになるだけじゃないの?そもそもいくらゲーム好きだからといって、こんなにも大掛かりなことする必然性がわからない。だからといって再読するのはいーやーだー。だって、地獄の一丁目だもん・・・。