月村 了衛『普通の底』

現実の事件史を下敷きにした作品たちに連なる今作は「現代の闇」が淡々と描かれていた。
誰だかわからない人物が誰だかわからない相手にあてて書いた「手紙」というスタイルで書き手の人生を読み進めることになるんですが(最後に手紙を書いた人物がなにをして、手紙を受け取った人物が誰なのかが判明します)、これまでの作品は『事件』を描いていたのに対し今回は「普通」に生きていたつもりなのに「死刑囚」になってしまった『個人』の話で、それゆえか異様に解像度が高くドキュメンタリー作品を見せられているようで、生きていることが怖くなった。マジでなんなのこの解像度・・・。