乾 ルカ『11月のジュリエット』

11月のジュリエット

11月のジュリエット

『超絶美形の4人組がハイジャック』というただこの一点のみを目当てに手に取りましたが、確かに美形は美形なんだろうけど全くときめかなかった・・・。どれほど美しいのか作中であらゆる言葉を使って表現されてはいるのですが、私の頭の中ではその表現が想像に結び付かなかったんだよなぁ。こっち方面の想像力はあるほうだと自負してるのになんでだろう?。説明されすぎるとかえって逆効果、ということだろうか。
ていうか、それだけ悲惨な状況だからこそ彼らはこの計画を実行すると決意し、その信念を持ってやってきた・・・ということなのでしょうが、それにしたって機内の状況ヘビーすぎんだろうと。でも“その瞬間”の描写こそ凄まじいのに、その後はそんな状況であるとは思えないほど普通に話が進むんですよね。そんな状況の機内でバトルすれば身体中体液やらなにやらでドロドロになるだろうし、匂いだってとんでもないだろうからその時点で気狂うんじゃないかと思うのに、そういう描写はないんですよ。それどころか食べられるうちに食べておかなきゃって機内食食べたりするんですよ。だったらこんなヘビーな状況にすることないのになーと。
なんか全体的にチグハグなんだよな。戦場に咲く一輪の花じゃないけど、恐らく超絶美形の4人組と彼らが引き起こした状況のギャップ、その壮絶美を描く意図なんじゃないかと思うのですが、それにしちゃあやることがえげつない。女子高生に対してそこまでやる必要が(物語的に)あるか?と。そんな暴力描写よりも隻腕(にナイフ仕込んだ特殊義手を装着)の超絶美形元軍人の超絶美形双子に対する想いをもっと深く描いた方がいいのに。ていうか一番ねーよと思ったのは超絶美形のリーダーが亡くした大切な存在が「妻」だってことね。そこは「姉」もしくは「妹」だろうがー!。