水生 大海 『少女たちの羅針盤』

少女たちの羅針盤 (光文社文庫)

少女たちの羅針盤 (光文社文庫)

観劇が生活の一部になっている者としては作中で描かれる演劇描写全般に惹かれるものがなかったというか、少女たちが夢中になるものが演劇である必要性を感じられなかったのは残念というしかないんだけど、4人の女子高生がそれぞれ3人の仲間に対して抱える感情ってのは読み応えがありました。実際にはもっともーーーっと醜いんでいささか綺麗に描きすぎ(綺麗な言葉で表現しすぎ)だけど。
現在と過去を行き来しつつ「4年前に死んだのは誰か。殺したのは誰か」を描いたミステリーとしては、死んだのは誰かが分かればその瞬間犯人の目星もついてしまうし(理論的にではなく直観的に)、動機もそういうことだろうと見当がついちゃうのでそこにさしたる謎があるようには読めなかったのですが、明かされた“トリック”にはちょっと驚いた。だってトリックとか気にして読んでなかったから(笑)。ていうかこれちょっと試してみたいわー。
一番驚いたのは4人のうち一人の“現在”でした。前フリ的な描写はあったけど、おまえガチだったんかい!!って。