青崎 有吾『水族館の殺人』

以下、背景色でネタバレしてます。







本筋(謎解き)がどうとかよりも、水族館でサメが人間食い殺す(正確には水槽に落ちた時点で死んでたけど)瞬間を間近で目撃していながら全く精神ダメージを受けてないっぽい新聞部員と、昨日そんなことがあったというのに翌日水族館で貸切状態だーってはしゃぐ袴田妹が恐ろしいです・・・。だって上半身はサメの胃袋の中で下半身は水槽に残ってるってな状態なんだぜ?。
てかデビュー作にあたる前作は校内での殺人事件だったからこの設定の探偵役が事件に関わることが出来たけど校外だったらどうすんだ?と思ってたら、体育館の事件で知り合った刑事から捜査協力を求められるというまさに「探偵」になってて笑ってしまったわ(笑)。まぁね、袴田兄妹の存在(設定)を考えればそうなる、というかそのための袴田兄妹ということでしょうが、じゃあ別に校内で潜伏生活送る必要なんてなくねーか?・・・と思ったら父親との確執なんてものが出てきて、次も読まなきゃならないじゃないかー!(←思う壺)。
謎解きパートは相変わらず美しくない。前作より結論ありきの説明である感は薄まってるけど、そのせいか今度は冗長に感じてしまったし、私の処理能力のせいかもだけど説明されても具体的な状況(図)が想像できないんだよね。だからサメに人間を食い殺させるなんて派手な事件のわりには謎解きが面白くない。指摘された犯人もこの人誰(どんな人)だっけ?と思ってしまったぐらいだし。
動機もこの人ならばイルカのためを思ってってところで止めておいたほうがよかったんじゃないかなぁ。名声を求めるようなタイプじゃないし(実は心の奥にそういうものを持ってるというならばそれらしき描写は入れるべきだと思うし)、苦い後味をつけるためならばイルカの命を守るために人間の命を犠牲にするほうが歪んでるように私は思うし。

でも探偵(高校生)サイドは妹や新聞部のイケメン副部長&ショタ部員などといういかにもな新キャラもでてきたし、体育館→水族館と殺人事件とは似つかわしくない「館」+刑事コンビが捜査権のある場所でなければならない というこの縛りでどこまでネタが続くかなー的な意味でも(笑)続きが楽しみ。