
- 作者: 櫻田智也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2017/11/13
- メディア: 単行本
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人懐っこいもののつかみどころがなくどこかとぼけた男が虫を探して出向いた先で事件に遭遇する・・・というありがちパターンの短編集です。
勿論主人公が探偵的な役割を担っているわけですが、でもそこまで探偵という感じはしないのは謎解きよりもそこにある人間のあらゆる「感情」を描くほうに重きをおいているからだろうか。
そう考えるとタイトル作(受賞作)や2篇目のように『虫』が事件の鍵となる話のほうが好みではありますが、3〜5篇目のように作品を通してのイメージであり象徴的な扱いとしての『虫』のほうが本来の持ち味だったりするのかな。
しかし主人公のキャラクター性からか日常の謎的な、どこかふわふわとした雰囲気すらする短編ばかりなのですが、どの作品でも人が死んでるんですよね。出かけた先々で人の死に関わってしまうというのにそれについて全く気にする素振りがない(作中では一切そのことについて触れられることがない)主人公ってちょっと怖い。