榊林 銘『あと十五秒で死ぬ』

友人が薦めてくれた作品で、初めましての作家さんです。

タイトル通り「15秒後に死ぬ」という設定で描かれる4篇からなる作品集ですが、作風が4作とも全く違うことに驚きました。
おそらく「15秒後に死ぬ」という設定がストレートに活かされていてもっとも面白く読めた第12回ミステリーズ!新人賞佳作受賞作である『十五秒』がまずあって、この作品を軸にして「15秒後に死ぬ」縛りで他の作品が描かれたのかな?と想像しますが、「15秒後に死ぬ」設定へのアプローチがそれぞれ違うのは当然というか、読者としてそこが求めるものではあるのだけれど、あまりにも違うんだもん。

これまた想像ですが、「15秒後に死ぬ」と分かっているときに、その「死ぬまでの15秒」になにをするかなにができるかをまず考えて、そこに肉付けする形で物語の舞台を決めていったのではないかと思うのですが、『不眠症』はまあ4つのうち1つはこういう話になるよなという感じですが、他の2篇は結構突飛。
設定ありき(ご都合設定)とはいえ「簡単に首が取れる体質で、首が取れても15秒のうちに繋がればセーフ。ただしそれができるのは年齢差上下1歳の間のみ、という人たちが暮らす島」とかトンチキが過ぎるし(笑)、被害者の首と加害者の身体を文字通り「生かす」ためとはいえまさかのオチすぎて笑うしかなかった(笑)。