秋吉 理香子『機長、事件です 空飛ぶ探偵の謎解きフライト』

機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト

機長、事件です! 空飛ぶ探偵の謎解きフライト

本日店開き(操縦士デビューをそう言うらしい)して国際線の副操縦士となった主人公が、日本⇔パリ間をフライトする道中に出くわした数々の事件を美貌の女性操縦士がズバっと解決!ってな作品で、行きの機内で婚約指輪の紛失事件が起こり、パリに着いた1日目は麻薬密売に巻き込まれ、2日目は殺人事件に出くわし、帰りの機内ではピアノコンクールで優勝候補と目されているVIPが原因不明の急病で生命の危機と、どんだけアクシデントに遭うねん!!!・・・・・・というツッコミの前に、こういう軽い感じのミステリーを秋吉さんが書くんだ!?(まだイメージ固める時期だと思ってたのにこういうのを今出しちゃうんだ!?)と驚いた。
ていうか、読みながらコレ完全に取材旅行という名目でヒット作出したご褒美にパリ旅行させてもらったんだろうなぁ・・・としか思えなかったし、そこでパイロット(と客室乗務員)をメインの登場人物にしたのは今後のシリーズ化、ひいては映像化を見越してのものなのかなーとも勘ぐってたんだけど、巻末に秋吉さんのご家族がパイロットだと書かれていたのでなるほどねと。操縦士としての業務内容や薀蓄が結構書き込まれているのはそういう背景があるのかと。
一応謎解きがなされるもののトリック云々というより動機(そこに至る心情)や予期せぬ理由で結果的に事件になってしまったその理由を楽しむタイプの作品なので、ミステリーとしては物足りなさしかありませんが、探偵役となる「たわけ」が口癖?の美貌の女性操縦士を筆頭にキャラクターに魅力はあるので、国際線の操縦士や客室乗務員のお仕事モノとしての側面を含め今後の展開に期待。