『新春浅草歌舞伎』第一部@浅草公会堂

楽日公演を見ました。演目は断然一部の方が好みなのですが、同日夜公演のお年玉が松也なのでママンともめた挙句わたしが折れました。だってママン、何を言っても「わたしは亀ちゃんが見たい」(お年玉も亀ちゃんだったので)の一点張りなんだもの。チケット取るのはわたしなのに・・・亀オタめんどくさい・・・。

そんな亀治郎さんのご挨拶は
・役者がお客様に熱を伝え、その熱をお客様が返してくれることで魂のやりとり、キャッチボールができることが舞台の醍醐味であり、そこがテレビや映画と違うところでございます。・・・とテレビに出てる私が言ってみます(笑)
・今年も無事浅草で公演を行えることを感謝しておりますが、今年はこれまでずっと一緒にやってきた獅堂さんは新橋の方へご出演ということで裏切りまして(笑)、愛之助さんは大阪に帰ってしまわれました
・でもそのかわりに松也という若手が加わりまして、昼2演目夜2演目、合計4演目出演したします。なんといっても若いんでね。私も昔は4演目とか出てましたけどね、さすがにもうちょっと(歳で)・・・
・夜の演目を既にご覧になったかたはどのくらいいらっしゃいますか?(挙手させる)→(10分の1ぐらい?)ああ・・・ほとんどの方がまだ見てらっしゃらないということでね(笑)、(ロビーを指して)あちらで当日券を販売しておりますので是非!
・昼夜両方見ても歌舞伎座の昼と同じ値段ですので大変お徳でございます!!
・ありがたいことに2月は大阪の松竹座で帰ってきた獅堂さんと愛之介さんを加えて公演させていただけることになりました。今日の公演が終わったら明日11時から稽古です。明後日も11時から稽古です。そして大阪に向かいまして、2月1日に幕があがると。どれだけ人使いが荒いのかと。全員無事大阪から戻ってこれるでしょうか(笑)
・我々の合言葉は「Yes We can」でございます
・皆様も大阪まで来ていただいてね(笑)皆様なら出来ます!!


こんな感じでございました。相変わらずサ行がベシャベシャで、「おおさか」が「おおしゃか」になっちゃう亀ちゃんカワユスw。タイムリーな話題の取り入れ方もさすがで、かなり会場ウケてました。
でもやっぱり松也のお年玉も見たかった・・・・・ていうか楽のカテコで松也が所化姿+頭に落書き(クリリンっぽいの?)+ライトセイバー片手で登場したとか聞いて夜も見ればよかったと激しく後悔いたしました・・・。


『一條大蔵譚』
アホ殿様の仮面を外した亀ちゃんを見て風林火山の3話だったと思うんだけど、和歌を勉強してきたという板垣に、面白そうな笑みを浮かべて読んでみろと言いながら柱にもたれかかる晴信さまのお姿を思い出しました。アホ面があまりにも似合いすぎるせいで(褒めてますw)、キリっとした時の凛々しさ5倍増しになるのよねっ!。でも作り阿呆と実はキレ者の演じわけはちょっと激しすぎたかなぁという気がしなくもなかった。特に前半の舞の部分が。メリハリが利いてるという見方も出来るんだけど、舞に乗じて大蔵譚を亡き者にしようとしてる広盛と勘解由のあしらいが上手すぎるというか、わたしには阿呆2割キレ者8割ぐらいに見えたのよね。まぁ分かってるからってのはあるけれど。
この場面、召抱えられてる侍女として松也も共に踊るのですが、登場シーンからずーっと表情も踊りそのものも硬くてね、楽日だから緊張してるってこともないだろうしまだまだなのかなぁ・・・と思ったのですが、後半、黒い着物に着替えて「奥殿」の場面になったらその硬さが逆に生きるというか、夫(カンタ演じる吉岡鬼次郎)とともにただひたすら源氏再興を願う忠義の人という印象に繋がったのでなるほど、それを意図してのことだったのねとようやく気付きました・・・。ごめんよ松也・・・反応が鈍い客で・・・・・・。松也はやっぱり黒いお着物を着ると色っぽいわぁ。松也の女形の難点は仕草やら所作やら以前の問題として、こればっかりは仕方ないんだけど背の高さと首の太さにあると思うのですが、カンタとの並びは悪くなかった。相手がこれぐらいだと松也のデカさも目立たないのになぁ。
七之助常盤御前は綺麗でした。眼福。これぞ正しい七之助の使い方だと思うw。でもやっぱり“お姫様”に見えちゃうなぁ。色気に欠けるというか。


『新古演劇十種の内 土蜘』
わたしのお目当てはコレでした。演目が好きなのもあるんだけど、なんと言っても松也の頼光様が見れるだなんて!!!!!と無駄にテンションあがりまくりでございました。
で、登場した頼光様を見た瞬間に思いました。


頼光様若っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


いや、配役が発表された時から覚悟してたというかいくらなんでも(見た目が)若すぎるんじゃなかろうか・・・とそれなりの心構えはしていたつもりです。でもそれを軽々と越える若様っぷりだったw。すごく素敵なのよ!シュッとしてて見目麗しいお姿なんだけど・・・・・・頼光様の威厳というか重みというか存在感というか・・・病気療養中であるということを差し引いたとしてもこの人が酒呑童子を倒せたとは到底思えん!って感じだった。何度も言いますがめちゃめちゃカッコよくはあったんだけどね!w。思わず写真買いまくったほど素敵だったんだけどね!!w。
素敵と言えばですね、七之助演じる胡蝶の舞を見た後、夜が更けるにつれ体調がまた悪くなるのですが、ここで頼光様はうとうとしてしまうのね。つまり目を瞑るわけですよ!。目を閉じた松也の横顔ハァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン☆わたしのお席は花道横絶好のポジションだったのですが、真横を通る頼光様の命を狙いに来た実は土蜘である智籌カンタそっちのけで松也をガン見!双眼鏡でガン見ですよもう!これぞウットリハァハァだっつの!!
怪しげな気配をプンプン振りまくカンタ智籌との立ち回りは迫力がありかつ華がありました。この場面のためにチケ代全部払った気分!!・・・・・・ま、まぁ寝顔にもですけどw。前述の通り2人ともそれなりに身長があるから動きがダイナミックに見えるし、若いから動きに勢いとキレがあるし、なんと言ってもカンタ智籌が投げる蜘蛛の糸が高い位置からブワーーーって広がるその様が美しく、その後の頼光様に斬り付けられた智籌の見得がより一層おどろおどろしくそして妖しく聞こえるなぁと思いました。
カンタの引っ込みも雰囲気があってゾクっとしたし、松也頼光様の左手を繰るくるっと回して袖を巻きつけるのもとても綺麗だったわぁ(うっとり)。
ちょっと話は逸れますが、わたしジャニ舞台なんかでもズニアの子たちがテキパキと裏方仕事(フライング器具の準備や衣装や小道具を片付けたりとか)してるの見るのが大好きなので、後見さんが舞台上に放たれた糸を手早くくるくるって回収してんのに異様にときめいたw。
後半は棲み処で土蜘姿に戻ったカンタの見せ場なのですが、土蜘の隈がまたすごかった。花道で舌を出す決めポーズをまさに間近で見たのですが、不気味すぎて思わず半泣きになったほどw。この場面もカンタの身体能力を遺憾なく発揮した!って感じで、花道から舞台に飛び乗る様はまさに蜘蛛そのものだし、グルグル回る車輪はスピード大きさともにまさに今のカンタにしか出来ないものだったと思う。これには大満足でした。


お年玉のご挨拶で亀ちゃんが言うようにw、非常にコスパに優れた舞台だったと思いました。このメンバーとしては完成品に近いレベルまで来たといっても過言ではないかなと。逆に“浅草らしさ”みたいなものは薄れちゃった気もしなくはないですが・・・(これはもしかすると新橋にご出演のあの人が不参加だから・・・かもしれないw)。


とにもかくにもスターマッティ(男女蔵ことオメッティさん命名w)こと松也が初めての浅草を無事に、そして立派に務め上げてくれてよかったです。来年も出してもらえるといいなー。