古野 まほろ『天帝のはしたなき果実』

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)

うわー、びっくりした・・・。私かなり本を読むの早い方だと思ってるし、大抵の本はどれほどつまらなくともとりあえずは割とすんなり最後まで読み通すことができる方だと思ってるのですが、これは半端なくきつかった。読んでも読んでも進まなくて、読んでも読んでも入っていけなくて、もうやめたいリタイヤしたい・・・って泣きそうになりつつも1,680円1,680円って頭の中で唱えながら必死で読みました。・・・3週間もかけて・・・。物語の質自体が全く違うし、あちらは単なる薀蓄ではなくちゃんと物語の肝と結びついているので、比べるのも申し訳ない気分でいっぱいですが、京極小説を読めない人ってきっとこういう気分なんだろうなぁって初めて分かった気がします。
あまりにも装飾過多すぎてミステリ部分に至る道のりが険しすぎて、それはまぁバカ正直にルビを必死で読んだりするからなんだけど、でも読まないと気づかないこともあったわけで、でもルビの8割はしょーもないただの自己満足でしかないってのがタチわるい。「めるし」っての見るたびに手が戦慄いたもん(笑)。ていうかさ、宇山さんと有栖川さんが推薦してるってのがそもそもおかしいのよ。その二人が並ぶとパッと見はアレだけど実は真っ当にストレートな本格なのかと思うじゃないですか普通。騙された!とは言わないけど、宇山さんはともかく有栖川さん見る目変わりそうな勢いなんですけど。

参考文献のあまりの多さに、この作者の引き出しって空っぽだったんじゃ・・・と半ば本気で思ってます。そこらへんを確かめがてら(を言い訳に)次も買ってしまいそうな地雷好きの自分がイヤー!