『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』@帝国劇場

いやあ、すごい「祭り」だったー!。
公演の詳細が発表された直後はS席17500円はともかくA席14500円・B席9500円という強気の値段設定に界隈がザワザワしてたものの、いざ幕が上がってみれば帝国劇場全体を使った『空間』に「納得!!」でしかなかったよな。
トニー賞のパフォーマンスやBWの映像をYouTubeで見てたんで、客席への扉を抜けると目に入る舞台の両脇にデデン!とそびえる象と風車に「本物や・・・!」となり、そこから頭上に目をやると天井の見たことが無い位置にまで電飾が飾られている煌びやかで淫靡な空間に圧倒され、座席に座った瞬間に「(チケ代の)元取ったわ」となったもの。

あとはもうただただ舞台上で繰り広げられる『ショー』を愉しむだけ。
いい意味でただそれだけの舞台でした。
まさか象がサティーンの楽屋だったとは!!(この作品で最も驚いたのはこれでしたw)。

アメリカ生まれの若い作家・クリスチャンがパリへ行き、ナイトクラブ(ムーランルージュ)の花形スターであるサティーンと出会い恋に落ちる。が、その時サティーンは結核を患っていて、クリスチャンたちが作る舞台の上で美しく散る」というだけなんでストーリーはあってないようなもの、というのは言い過ぎかもだけど、でもそれだけの話でしかないところを(あ、ちなみにわたし映画は未見です)、数々の名曲を散りばめ彩り、歌あり踊りあり笑いあり涙ありで3時間弱を駆け抜ける極上のショータイムとして魅せてくれた。

そんなMR!で特に良かったというか、超絶テンション上がるのが2幕の幕開けである「BACKSTAGE ROMANCE」。
ティーンとのロマンスに隠れてもう一つのロマンスが進行していた・・・というクリスチャンの語りから始まるサンティアゴとニニの濃厚なダンスからのダンスリハ(群舞)、というシーンなんだけど、いやもうとにかく最高!!!の一言。サンティアゴのカウントには毎回2度ぐらい体温上がってましたわ、マジで。
サンティアゴを演じる中河内雅貴に一時は狂った女として、帝国劇場という舞台でこのガウチを観ることができたことは筆舌に尽くしがたい「わたしのオタク人生間違ってなかった!」感。


アンサンブルも含めキャストは皆すばらしかったです。
Wキャストはどこも持ち味が違うんで、それが役作りというか役の印象を予想以上に違うものとしていて、サティーンとクリスチャンだけでなくサティーンとジドラー、サティーンとニニ、サティーンとトゥールーズなどなど、ストーリーに違いはなくとも舞台上では描かれないところ、その想像部分で違いが出るので組み合わせの数だけ楽しめるし、観た人によって「好み」が違うだろうから語りたい!他人様の感想が聞きたい!!となる。

わたしは「橋本ジドラー・伊礼デューク・中河内サンティアゴ」を基本軸として、あとは全キャストを満遍なく観られるようにチケットを取ったんですが、マイ楽を終えた今最も心に残るのはまさかの甲斐クリスチャンです。

まさかのと書いたのは、これまで何作かで舞台上の甲斐翔真を観ているものの「良い」と思ったことがないんですよね、実は。
なのでまあ・・・好みではないんだろうなと思っていたわけなんですが、甲斐クリスチャンはドンピシャで、一目見た瞬間に「アリ!!!!!」と心のなかで叫んでしまった。
順番が 芳雄さんクリスチャン→芳雄さんクリスチャン→芳雄さんクリスチャン→甲斐クリスチャン(→芳雄さんクリスチャン)だったんで、芳雄さんの“技術としての「若さ」”に慣れたところでの“天然物”だもんで余計に・・・・・・うん・・・・・・まあ、そんな感じだったの(いい感じに表現できる言葉が見つからない)。
若さはもちろん、歌われるのがミュージカル用に作られたものではないポピュラー音楽なので個性的な歌声が活きるし、甲斐翔真が発する情熱が純粋なのでデュークがサティーンに与えた家での修羅場からの狂いっぷりがこれまた純粋なんですよ。純粋な狂気なの。これがすこぶる良かった。
その時分にしか出せない煌めきというものは絶対にあるわけで、それはなにものにも勝る武器であるわけで、25歳という絶妙な年齢でこの役に出会った甲斐翔真はやはり「持ってる」んだろうな。