有栖川有栖『狩人の悪夢』

狩人の悪夢

狩人の悪夢

この装丁とても素敵で、素敵と言っておいてなんなんですが有栖川作品っぽくなくてちょっと戸惑ってしまった。この物語にこういう装丁を選ぶセンスすごく好き。
火村の謎解きがいつも以上に難解というか回りくどいというか、すんなり納得できるようなものでなく、だから思わずそれを聞かされてる犯人と指摘された人物の言い分に同調したくなってしまったのですが、当初は倒叙形式にするつもりだったあとがきを読んで、その名残のようなものがこの謎解きに現れているのかなーという気がしました。事件の猟奇性とこのロケーションは魅力的なので、いつか犯人視点の物語を、犯人から見た火村英生と有栖川有栖を読めたら嬉しいな。
火村とアリスが会うのは半年ぶりだという今作では、物語におけるアリスの立ち位置、火村に対する役割、それを改めて確認する意味合いが強いように感じましたが、その物語のクライマックスでアリスが“トドメ”を刺す役目を担ったこと、ここに希望があると信じたい。
今回最もときめきつつ笑ったのは事件の解決後不良少年よろしく咥え煙草でおんぼろベンツから降りる(二人を見てる視点からすると「現れる」)火村とアリスの図、でした(笑)。
で、シリーズキャラの○○さんの結婚式に二人揃って招待された時の話(その帰り道で事件の一報が入るとかでもいいから)は読めるんですよねっ!???。