藤井 太洋『オービタル・クラウド』

オービタル・クラウド

オービタル・クラウド

方々でこの作品名であり著者名を目にするもんで、SFが理解できない私には無理だろうと思いつつも挑戦してみました。
やはり大枠というか、あらすじレベルでは理解できているとは思うもののそこから一歩踏み込もうとすると途端にぼんやりするというか、よくわからないってな状態になってしまうものの、それでもぐいぐい引き込まれました。人種性別年齢問わず、登場人物たちがほぼほぼ超人か変人かその両方で、その人たちから放出される熱量がすごいんですよ。
宇宙開発という分野における先進国(主に米国)に対し元JAXAの人間が北朝鮮の衣を被ってそうではない国々の熱意はあるのに研究環境が与えられない研究者たちのために道筋を作るべく喧嘩売るってな話で、CIAだの北朝鮮工作員だの中国のスパイだのが絡む中、中心となるのが日本の民間人2人・・・という、ものすごくアホっぽい表現をするならば宇宙を舞台にした電脳バトルということになると思うのですが、そこまでSF寄りじゃないというか、いやSFなんだろうけど前述したように「物語」としてしっかり読ませてくれるんですよね。それはやはり熱量に引っ張られたからだと思う。SF的に優れているかどうかってのはSF脳がない私には判断できませんが、読み物として充分面白かった。