三崎 亜紀『コロヨシ!!』

コロヨシ!!

コロヨシ!!

高校時代しかやることを許されないスポーツ「掃除(そうじ)」に青春を賭ける少年少女の物語・・・ということでいいのでしょうか。結構ストレートな青春スポーツ小説だと思うのですが、そこは三崎さんですから、この「掃除」という架空のスポーツがクセ者です。何故この物語の世界では「掃除」だけこのような扱いをされているのか分かるようで分からない。でも“居留地”や“廃墟”などこれまでの作品で描かれてきた要素でありアイテムが織り込まれているので、なんとなく“そういう世界”なんだなと受け入れる・・・とは違うんだけど、そういう世界もあるかもなーって感じで読み進められてしまう魅力はモリモリありました。登場人物も全体を見ると結構多いのですが、主要人物を絞りそこはガッツリと魅力的に描かれてるし。まぁキャラ萌えという意味では主人公の親友でありライバルの少年と、主人公を翻弄する幼馴染の超絶美少女の扱いが勿体無いとは言えますが。
でもなぁ・・・肝心の「掃除」というスポーツが、必死で想像しようとしてみるものの私の拙い想像力では想像できなかったんだよなぁ。主題はそこではないとは思いながらも、変則スポ根モノのくせにその「スポ」の部分を楽しめなければそのあとの「根」もピンとこないわけですよ。いや、楽しめなかったわけじゃないんだけど、想像力全開で読み続けなければならないので途中で力尽きちゃったんですよね。長編でありながらも連作短編集のような形で1章ごとが独立してるならば章が変わるところで想像するための集中力を一旦溜めることができるんだけど、これは文字通りの「長編」なので、想像力が追いつかなくてキツかったです。
それにしても、三崎さんの小説を読むたびにいつも思いますが、ほんと頭の中どうなってるんだろうと思う。というより三崎さんの目には世界がどう映っているんだろう?と思います。一度目を借りて世の中を見てみたいと思ったりするんだけど、なんだか酔いそう(笑)。