三崎 亜紀『刻まれない明日』

刻まれない明日

刻まれない明日

10年前に突如として3095人もの人が消えた町。でもその町では人々がそれぞれ大切な人を失った痛みを抱えながら今を生きている。忘れないことが正しいのか、それとも忘れることが正しいのか、10年という時の流れは人々を少しずつ変えていく。
突如消えてしまった人々。そしてその人々が目には見えないどこかに存在している形跡。いつもながらの三崎ワールドではありますが、今作は全編「愛」が詰まっています。人が新しい一歩を踏み出すための力になるのはやっぱり「愛」なんだと思う。誰かのためには自分のためにとイコールなんだよね。設定こそ“突飛”ではありますが、これまでに刊行された作品の中では一番万人受けする作品かもしれません。そんな中でこれまでの作品と繋がっているような描写もあったりして、そこはニヤリとしてしまいます。