劇団コーンフレークス第4回公演『博士と太郎の異常な愛情』@東京芸術劇場 小ホール

面白いか面白くないかと聞かれたら、面白く・・・・・・はないと答え、好きか嫌いかと聞かれたら、好きと答える。
概念としての『愛』がテーマだったと思うのですが、結末は観客に委ねるという形だし、誰に共感するか、誰に注目して見たかで受け止め方は全く異なる・・・そんな舞台でした。


公式のあらすじに

1日で3万円の「溝ノ口博士の人間行動学」という、見るからに胡散臭い人体実験モルモットのアルバイトに応募する。
やってきた山奥の研究室には雑誌やゲームなどが置いてある一見するとただのレクリエーションルーム。

とあるのですが、舞台上ではそこまで詳しい説明はなく、お揃いのパジャマを着た数人の男がグダグダとたむろしてるところにベルが鳴り響き、ベルが鳴ると1人を残してそれぞれ与えられた個室に戻る。残された一人はレクリエーションルームで眠り、その夢の中に博士とその妻・粉雪が現われる。それぞれがそれを繰り返す(繰り返しているらしい)。初めのうちは気軽に会話を交わしていたが、集められた人々は誰も博士と直接の面識がないことに気付く。それなのにどうして全員“博士”を共通のビジョンで思い浮かべることができるのか?。閉鎖された環境の中で眠りと現実の狭間を行き来する人達。今この瞬間は現実なのか?それとも夢の中なのか??。博士はそれぞれに生きる意味を、あなたが思う愛は果たして愛と言えるのか?と繰り返し問う。だんだんと狂気に駆られるモルモットたち。この空間から出るために必要なのは『愛』。やがて1人の偏執的な愛が悲劇を招き・・・。
要約するとそんな感じかな。2回見たのですがよくわからなかったと言うのが正直な感想です・・・。主役である太郎(ながやん)だけが、映画学校に通っている映画監督の卵でクランクイン予定の映画の費用が30万足りずそのためこの怪しいアルバイトに参加したという背景が明示されてることもあって、もしかしたらこれは全て太郎の頭の中の出来事なのかな?と取れなくもないと思ったし。
前半は博士役の土井よしおさんと粉雪役の野口聖古さんを軸としたブラックコメディ調なのですが、後半はうってかわってシリアスというかホラー調。太郎の彼女のささめが太郎の名を叫びながら唯一の入り口をドンドン叩き、その勢いに押された入り口の開閉を管理してるチンピラの田所とともに研究室へ転がり込む・・・同じことを何度も何度も繰り返すことで観客の判断力も麻痺してくるというか、見てる側も現実と夢の境界線が曖昧になっていき、どこか不快な感覚を伴うトリップ感を感じる・・・そんな感じ。
なんてちょっとカッコつけた言葉を選んで書いてはみたけど、前述の通りよくわかんなかったんです。実際のところはw。


モルモットとして参加してるのは、太郎(ながやん)に新山(遠藤雅さん)、綾野(アイル)、後藤(崔さん)、三崎(山崎さん)、そして五十嵐(ガウチ)の6人。そこへ新入りとして唯一の女性・あかね(加藤さん)が加わるのですが、衣装はみんなおそろいのグリーン基調のパジャマ(女性はオレンジ基調)。太郎はパジャマにワッペンをペタペタ貼り付け、綾野は首に水玉のスカーフをリボン結び、五十嵐はキラキラドクロが胸についた臙脂のTシャツを着て上着は腰巻きとそれぞれキャラをイメージした着こなしでカワユス。もちろん他の人達もそれぞれの着こなしでしたがビジュアルに関しては興味がないので端折りますw。
ながやんと新山役の遠藤さんが物語を引っ張る中心人物なのですが、ながやんは持ち前の身軽さを生かしてちょこまかちょこまか動いてたという印象。凪の演技はキラキラしてるしほんと可愛いんだけど絶叫演技になると想いとか熱は伝わってくるけど言葉が聞こえないのは相変わらずだなぁ。
順番にレクリエーションルームで寝るってのが実験なんだけど、確か寝るのは2時間ごとで、その間他の人達は与えられた個室に篭らなければならないんだけど寝てはいけない(寝るとレクリエーションルームで寝てる人の夢と同調してしまうから)とか言ってた気がするんだけど、てことは1日の睡眠時間は4時間あるかないかってことなのか!?・・・そりゃ段々おかしくもなるわな・・・と今感想を書きながら気がつきましたw。で、新山は太郎が見てる夢を何度か覗いてしまっていて、太郎の彼女であるささめに恋をしてしまうのです。最初は変態眼鏡だった遠藤さんはやがて鬼畜眼鏡に豹変するのですが、さすがの狂気っぷり。ながやん・アイル・ガウチが目当てだったのですが、ひそかに遠藤さんを見るのも楽しみだったので、これはなかなかいい鬼畜眼鏡だわと堪能させていただきましたw。楽はキャスト全員から一言ずつ挨拶があって、その時遠藤さんは「お見苦しい演技を見せてしまって申し訳ありません」と仰ってましたが、確かに見苦しかったですwいい意味でw。泣き叫ぶ女を背後から羽交い絞めにして太郎はささめと別れたいと思ってるんだからこの女俺にくれよおおおお!と叫びながら連れ去るという最悪人間なのですが、最後の最期で新山はこの研究室に1年以上ずーっと閉じ込められてた(閉じこもってた)ということがわかるのね。その瞬間、新山という人がとても憐れに思えて、この人の人生って何なんだろう・・・と思って、更にどよーーーんとした気分になったもの。


太郎とささめと新山の関係を軸とするならば、悲劇の引き金というかキッカケになったのはアイルの綾野くんと妻子持ち(捨てられたのか?)の後藤さんの関係でした。アイル超熱演!一番美味しい役と言っていいかも。最初はさほど目立たないんだけど、脱いだり血塗れになったりまさに身体張ってたわw。綾野くんは研究室にいる期間がこの中では長いの。それはつまり愛することも愛されることもないということなわけで、一見人当たりはいいんだけどきっと孤独な青年なんだと思う。そんな綾野くんは次にこの研究室に入ってきた人を好きになろうと決めるわけです。この時点でかわいそうな人なんだけど、入ってきたのが妻子持ちの後藤さんだったってのがまたかわいそうなの・・・。最初はきっとそう決めたんだからと無理やり後藤さんを好きになろうとしたんだと思う。でもそのうち本当に好きになったんだと思う。でも後藤さんは受け入れてくれないんだよね。綾野くんはけっしてホモではなく、好きになったのがたまたま男である後藤さんだったってだけなのに(最初は無理やりだけど・・・)、後藤さんはその気持ちを否定するでもなく茶化すの。ソファで寝てる後藤さんにパジャマの上着を脱いで飛び掛る綾野くんw。すると後藤さんは反射的に綾野くんを殴って意識を失わせてしまうのです・・・(意識失った状態で粉雪に黒のボクサーブリーフ降ろされそうになって必死で死守するアイルバロスwww)。それは夢の中での出来事なのか、それとも現実にあったことなのか?そこいらへんは曖昧なままで時は流れるのですが、暫く出てこないと思ったら綾野くんの個室から両手を血塗れにした後藤さんが飛び出してきて、続いて頭から血をドクドク流して顔面血塗れ上裸の綾野くんが現われるのです!綾野くんの部屋で何があったのかさっぱりわからないんだけど、二人がもつれ合う中後藤さんが持っていたナイフが綾野くんに突き刺さってしまうのです!!アイル死んじゃった!!!。綾野くんの死がスイッチとなりクライマックスに突入するんだけど、アイルはそれからずーーーーっと舞台上で死んだままなのね。本編が終わってキャストが並んで挨拶する時もずっとその背後で死んだまんまなのwww。で、みんなが挨拶を終えてはけたあと、1人ハッ!?と起き上がって血まみれのまま挨拶するという凄まじくも美味しい役どころだったわw。


ガウチが演じた五十嵐は元歌舞伎町ナンバーワンホストという設定なもんでどんだけそれらしいのか楽しみにしてたんだけど、外見がチャラいだけで特にホスト的な描写はなかったですw。ていうか元ナンバーワンホストだったらそれなりに金もってるだろうにこんな怪しげなバイトに応募するだなんて、もしかしてナンバーワンホストってのは嘘なんじゃ・・・?とすら思ったしねw。五十嵐の夢の中には女が登場するんだけど、あかねと名乗るその女に覚えはないのね。すると、新たなモルモットとして夢の中に出てきた女がやってくるわけです。しかもあかねという名で。でも五十嵐は夢の記憶が曖昧なので、それが夢に出てきた女だと最初は気がつかない。でもぼんやりとした記憶はあるので「どっかで会ったことない?」と繰り返し問うわけです。チャラ男なだけに最初はナンパ文句だと思われるんだけど、やがてあかねも自分の夢の中に出てくる男が五十嵐だということを思い出し、お互いが同じ夢を見てた(同調してた)ことに気付くのです。それからはラブラブ。女とイチャコラするガウチを始めてみたんだけど、悪くなかったわw。ガウチのオス面が見られたって感じ。ストレートプレイのガウチを見たのはリンゴ〜に続いて2度目なのですが、現代劇だしチャラ男だしwでリンゴ〜に比べたら格段によかったと思う。ソファに座って手に取ったグラビアを持ち上げてスカートの中が見えないかなーって鼻の下伸ばしてニヤニヤしてたりだとか、太郎とささめの痴話げんかを最初は寝たフリで聞いてるんだけどそのうち面白くなってきちゃって肘で頭支えながらフムフムって聞き始め、喋ってる方に頭ブンブン動かしながら驚いたり隣のあかねつついてニヤリとしたりと細かい演技も可愛かったしw。でも楽で本来ならば開くはずのない扉がガウチが引っ張った勢いで開いちゃって客ざわざわってのがあったんだけど、そこアドリブ入れられずにそのままなにもなかったように演技続けたのはおしかったなーと思ったわ。後半のシリアス展開だったらそれが正解だったと思うけど、あの場面だったら気の利いたアドリブ一つ入れられたら良かったのになーと。経験のなさってこういうところに出ちゃうんだよね。
てか五十嵐があかねの肩を抱きながら「俺たち、ここを出たら結婚するんだ」って見事なまでの死亡フラグだと思ったのにw。


楽の一言挨拶はながやんが指名する形だったのですが、ガウチは最初に指名されそうになった時に「(心の準備が出来てないので)もうちょっと後の方が・・・」と生意気なことを言いやがってw、そのくせ挨拶はつまんない(ありきたりな)内容だったわw。まず、本日は「博士と太郎の〜」って言おうとして「はかせ」を噛み、続いて「素敵な皆さんと楽しく演技できることができて」と日本語の不自由っぷりを披露w。もおおおおおほんとにガウチはかわいいんだからああああああああ(←盲目)。あとコンフレの劇団員の岡優美子さんが定番ネタなんだろうけど「コーンフレークの釈由美子」ですと言うと、アイルと二人でベッドに何度も飛び跳ねながらズッコケててちょうきゃわああああああああああああああ><(←ひどい盲目)。そうそう、アイルは楽の本番中、サザエさんとかトリビア云々ってセリフを言うところでリアルに5秒ぐらい気を失ったらしいwww「千秋楽は何があるかわからないと実感しました」とか言ってたわ。あとコント的な前説があるんだけど、袖から「いよっ!!」とかガウチの声が響いてきてウザかったですw。


とても消化できたとは言えないんだけど、この舞台でガウチが演技の楽しさを知ったそうなのでよかったですw。これからアホのように続く舞台に生かせるといいなと。
あ、そうだ!ながやん宛にブリーチのTITEせんせーからお花が届いててものっそいホッコリしましたw。なんかこういうのってすごい嬉しいw。