- 作者: 山田正紀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/03/25
- メディア: 単行本
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私がこれまで読んだ山田正紀作品とは雰囲気が違います。なんかムーディー。エロティックバイオレンスサスペンスホラーって感じです。ついでにノワールな感じも漂ってます。なんじゃそりゃと思うでしょうが、でもそんな感じなんだもん。ジャンルミックス。かといってとっちらかっているわけでもなく、虚構と現実の境目を行ったり来たりしながら、毛色の違う短編ホラーを積み重ね、まさかこれで夢オチだったら怒るんだけどと思ったら、物悲しい恋愛の果てにエルロイ風の結末が待ってました。ちょっと驚き。絶妙のバランスです。
モノクロームな雰囲気はとても好きです。嵐の中で薄暗い光を灯したバスに乗る色彩のない人々、そんな中に紛れ込んだ一人の男、そして接点となる女の額に開いた穴だけが赤い。なんとなく押井守作品と似た印象。あんまり血が通ってなさそうなあたりが。