穢刃を生み出しているフードの男が悟堂真であり、悟堂真が持つ「鬼噛」と呼ばれる刀は戦時中に行われていた「穢刃を作る刀を作ろうとした計画」の産物であることは解った。
次なる疑問はなぜ「五百津肇が確かに斬ったはずの悟堂真」が「それを持っているのか」。
その答えが今回明らかになった。
『外道に堕ちかけた封刃師は浄化の儀式を行ったあと土に還す。それが古来からのしきたり』だが、それが今回は『裏目に出た』
鬼嚙の研究が行われていた場所は肇が真を斬った場所と極めて近く『悟堂真の亡骸が開発途中の鬼噛に呼応し、7年の時間をかけて穢れを溜めて、悟堂真の肉体をよみがえらせた』
結構なトンデモ設定だとは思うのに、すんなり受け入れられるどころか納得させられてしまうのが凄いしこわい。
真が肇に斬られたのは7年前なのに今になって活動を始めた理由がこの説明だけで理解できてしまうし、鬼噛は人為的に穢刃を生み出す云わば道具、もしくはシステムだと思えば「悟堂真の亡骸と呼応した」ってのも、「穢れを溜めて肉体をよみがえらせた」ってのも柄から刀身がにゅるにゅる生える穢刃をこれだけ見せられ続けた今では「なるほど」としか思わないもの。
トンデモ設定なのに受け入れられるといえばカレンの作る「人を残す鎮冥鞘」もそう。
「鞘に思いを残せ」という師匠の遺言と「三條と駆の血がついた鎮冥鞘を使った封刃での現象」から導き出したカレンの「答え」とは
『血を墨に混ぜることで駆への思いをのせる。封刃するとき、吸収した穢れの代わりに私達の思いを駆の身体に注ぎ込む。それで身体は残る』
というもので、なるほど「鞘に思い」をとはそういうことか!とストンと納得できてしまった。
まあ師匠のときはともかく三條の血が付いた鞘で封刃された高校生のケースはそこに「思い」なんてものはほぼほぼなかったと思うんで、「血を墨に混ぜることで駆への思いを乗せる」ってところはそれ「血」である必要はないのでは?と思うところがなくはないけど、でも「血の契約」とかあるしそこはロマンだよね、ロマン!ってことでいいし、封刃するときに駆が穢人の「記憶」を見ることもまた見せられ続けてきてるので、それを逆手にとってこちら(鞘)から翔とカレンと三條の記憶=思いを駆に「注ぎ込む」という説明には瞠目したもん。
(対駆用鎮冥鞘を作るに際し、材料として「五百津堂のテーブルと椅子」を使うべくぶった切ってるカレンに気づいて「おいっ」→「おいっ!ちょっ!」→「あっすいません・・・」ってアワアワする肇さんにフフッとなったけど、もしかしてこういう「笑い」って8話にして初めてか・・・?)
さらに悟堂真の「目的」も明らかに。
『外道に堕ちるほど穢れを溜める封刃師だから鬼噛を作ることができる。そう悟堂は思って駆に幾度も封刃させていた』
自分という「成功例」があれども本当にそれができるのかはわからないだろうとはいえ、悟堂の動機は「仲間を増やす」という至って単純なものだったのか・・・。
三條が調べてきた「鬼噛」についての報告を聞き、その裏取りを頼まれた巳前の様子が明らかにおかしくて、それは何らかの心当たりがあるからだと解釈してたんだけど、三條の情報は「本当」だったと報告する様子からして鬼噛のことを全く知らなかった(知らされてなかった)が故の“動揺”が思わず表に漏れてしまった、ということだったっぽいね。
何を考えているかわからない、というより何か企んでそうにしか見えなかった巳前だけど、「封刃」というシステムの中で具体的にどういう役割を担っているのか、それは不透明なままで終わりそうだけどこの人はこの人なりに自分の使命を果たしているだけだと判断してよさそうかな。とするとこの得体の知れなさはなんなんだと思うけど、それはもう生来のものですってことでいいやw。
悟堂が文字通り「高みの見物」を決め込むなかで殺戮衝動に耐える駆だけど、脳内虐殺シーンで人間をぶっ刺しながらその横を走って逃げようとする男を左手で押さえて止めて腕力で押し戻してその背後にいた男と二人まとめて串刺しにするの最高でしたわ・・・。ここまで人間業とは思えないけどでもリアルな殺陣を見せてくれてたからこの“いかにも斬ってない”虐殺はそういうことだろうと「解る」なかでのこの動きは最高に「残虐」だった。
これまで早乙女太一の最残虐な殺陣は「ふたがしら2」の最終話でありそれを超える映像作品はないだろうと思ってましたが(ちなみにこの作品も脚本は中島かずきです)(舞台も含めると髑髏城の七人(鳥)と双璧ですが、ちなみにこれも中島かずき作です)、走って逃げる人間を左手一本で止めて背後の人間と二人まとめて突き刺す早乙女太一はそれが駆の云わば「妄想」だという加点込みで肩を並べるわ!。
そんな衝動に耐える駆に吉原(と内藤)が『ぶざけんじゃねえ、神代の犠牲は何だったんだよ』と言うのもイイ。吉原たちに追い詰められたあたりでは駆の精神力ももはや限界だったと思うんだ。おまえらを斬るためだって言っちゃってるし。でも「神代の犠牲は何だったんだよ」の一言が、駆をギリギリのところでとどまらせたのだと思う。
そしてそれがラストシーンに繫がるんだよね。
ここで言及するけど、今回はロケーションがべらぼうに素晴らしかった。神代と戦った路地裏なんかも印象に残ってるけど、この吉原たちが駆と言葉を交わした地下空間とか、御厨と戦い翔が止めに入って駆を逃がした場所とか、今回は特に雰囲気があるカッコいいロケーションで、こだわりとセンスを感じた。
前回の感想で書くのを忘れちゃったんだけど、駆が真さんに斬られた地下駐車場でのバトル途中で真さんの刀が電気設備を壊し非常灯に切り替わることで「色」が変わったのもカッコよかったし、このこだわりとセンスによる画作りがとにかく素晴らしく、それがわたしの好みにドンピシャなんだ。
その地下駐車場では「真さん」を斬れなかった駆だけど、悟堂真を斬るために「鬼噛の殺戮衝動を使う」ってのは真さん同様なるほどねーとこれまた納得。
ここまで駆に殺戮をさせなかったのは勿論「救われる」ためなんだけど、ここまで耐えて耐えて耐えてきたものを対悟堂真にぶつけるためと考えると燃えるし!。
そこへ駆けつけた新しい封刃師・御厨伊吹と「まずは悟堂真を封刃する。お前はそのあとだ」「それでいい」とすかさず共闘することで合意する御厨と駆は育てられたプロセスは違えど「封刃師」なんだなと思ったのも束の間、御厨の腕をあっという間に破壊してその場を去る悟堂真・・・・・・強すぎんだろこの男・・・・・・。
封刃の最優先だった悟堂を逃がしかけてるし、片腕が不能になってることもあって御厨的には駆と戦う意志はなかったように見えるというか(山本千尋さんの「片腕に激痛がある動き」が上手いわー。太一もそうだけど“手負い”にちゃんと痛みがある)、この状況では駆を封刃するどころか逃げるのが精一杯なわけで、それなのにここまで「人を斬る」ことから耐え続けた駆が御厨を殺そうとするのは解放してしまった殺戮衝動によるところなのだろう・・・と思ったところで翔さんがキターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
ここまでの駆による「封刃」は華麗でスタイリッシュで「カッコいい」の塊みたいなアクションだったのに対し、駆vs翔は肉弾戦だった。駆は勿論翔も余裕など欠片もない、力と力の戦いだった。翔なんて汗だくだったもんね。
戦いのなかで駆に流れ込むカレンの思い、三條の思い。
そして真さんが肇さんに斬られるところを「見た」あとで(ここで「大丈夫か?」と聞く翔に駆が「うん」と答えたのがまたイイのよー。「ああ」ではなく「うん」ってところに駆の幼さが見て取れるし、それは翔も同じであろうわけで、その頃から二人は相棒なんだってことがこのやりとりひとつでわかるところが素晴らしい)「俺達がやるしかない」と言う駆に鞘を渡しながら「俺がお前を支えるよ」と翔が言った時のことを、二人が「相棒になった瞬間」を駆に伝えつつ
『俺たちが!お前を!!鬼噛、封刃仕る』
あああああああああああああああん翔さんの「封刃仕る」かっこいいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!
(とか言ってるけど実際にはウグッ!と呻きながらダダ泣きでしたw)
黒い霧が晴れるまで結構な時間がかかり、そこに駆の身体が残っているだろうとは思えどハラハラしたわー。
ていうか霧が晴れたら見えた駆の顔が美!!!!!美!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そんな駆をすかさず抱き支えつつ「あんまり手間かけさせんなよ」と翔。
「さすがだよ、相棒」と応える駆。
さっきまであれだけ汗だくだったくせに、事が終わればいつもの飄々とした感じに戻る翔さんほんっとカッコいい。
御厨の封刃を邪魔して駆を逃がしたあと、「まさか本家に邪魔されるとは思わなかった」という御厨に「勉強になったろ?」ってのもカッコよかったし、翔さんのキャラクター造形まじまじ最高がすぎるのよー!。純粋にキャラクターとして見るならばわたしは駆よりも断然翔派です!!。
2話で翔の役目は「駆を殺すこと」だと言われたときからいつかその瞬間が来るのだと覚悟しつつここまで見続けたけれど、まさかこんな展開になるとは予想だにせず、ていうか「早乙女太一が救われた」ことに驚きを隠せません。
そんで翔曰く「人崩れの印は消えて、あいつの穢れは全部鬼噛にまとまってる。封刃さえすれば駆は助けられる」ってな話で、つまり駆の「俺の腕がー!」問題も解決してしまった、ということなんですよね?。ここまで溜めてきた穢れはぜんぶ翔が封刃してくれましたと。
マジかー(笑)。たまには救われる太一を見せてくれてもいいのよとは書きましたが、中島かずきが描く早乙女太一が文字通り「真っ白」になって救われるだなんて、わたしちょっとどうしていいかわかりません(笑)。
とか思ってたら肇のところに真さんが現れて(駆復活の報を受けて「よくやった!」と褒めてからの侵入者の正体を察して表情が変わるところ、最高にカッコいいVerのじゅんさんだった)最終回になだれ込むと。
(やだー!次で終わりなんてやだやだやだーーーーーーーーーーーーー!ってのはそれとして)駆が翔とカレンと三條によって救われたとしても悟堂真を封刃することで穢れが限界突破することは間違いなしの状況には変わらないよね?と思ってたのが「穢れ値ゼロに戻る」というまさかの状況になったことで、今度こそガチで早乙女太一VS坂口拓が見られるんですね!。楽しみ過ぎてヤバイわマジで。
「穢れが溜まっている連中は山ほどいる。鬼噛で斬れば溜まった穢れが一気に噴き出る。膨らんだ風船はやがて破裂する。それと同じだ。穢刃が生まれるのは世の理。俺達はその手助けをするだけだ」
人を見降ろしながら駆にそう語った鬼噛・悟堂真をどう封刃するのか、残すはあと1話のみ!。