中山 七里『人面瘡探偵』

人面瘡探偵

人面瘡探偵

なんだこのタイトル・・・と思ったら、普通に「肩に人面瘡がある探偵」でした。その人面瘡が知能を持ってて喋ることは普通じゃないけど、まあフィクション世界では普通よね。人面瘡は喋ってナンボ、喋らない人面瘡になんの意味があるんだ?って話だし。

山林王として財を成したワンマン創業者が亡くなり、相続鑑定士である主人公が依頼を受けその土地に足を運ぶやいなや相続人である子供たちが次々と死体となって発見される。という物語で、男尊女卑の思想を強く残す田舎ならではの閉塞した価値観だったり、「福子」と呼ばれる忌まわしい風習だったりといった要素があり、その中で起こる連続殺人はかなり終盤になってから「見立て殺人」であることが明らかになるのですが、それはまあどうでもよくて、人面瘡の「ジンさん」が探偵でジンさんを肩に宿すヒョーロクこと三津木六兵がワトソンであり代弁者として動くというのが特徴です。

連続殺人の真相については謎解き含め「ふーん」ぐらいの感じでしたが、でもまあ見立て殺人のオチというか、最後のひとつをこういう形で回収するのはロマンがあって悪くないなと思ったところで終わりかと思いきや、最後の最後にぶっこまれた「えええええ!?」という展開にひっくり返りました。最初にわたしが書いたこと、そこからして既にもう作者の策略に絡めとられていたとは!。