史実的には井伊家は全く関係ない築山殿事件をなんだかんだでおとわと瀬名の物語であり信康の代わりになる万千代の話にしちゃう脚本の剛腕っぷりに慄かざるを得ない。
武田との内通を理由に息子の命を奪えと織田に言われた徳川がその命を救うべく今川氏真に助力を求め北条と結ぼうとするも正妻は愛する夫の大事な息子を守るために自ら命を差し出すがその首をもってしても織田は許してくれず結局息子は自刃した・・・という話が気が付いたら妻として母として命を使い切った瀬名に対し妻でも母でもない直虎は自らの命をなにに使う?→万千代を使い戦のない世の中にすべく徳川を動かすという無謀な野望を抱きさっそく動きだしましたってな話になってて、信長→家康の「好きになされよ」の使い方(意味合い)含め築山殿事件の解釈の仕方に(この流れなら石川数正が豊臣に行くのもド納得)(つーか瀬名様への告白なんだよあれ!?どこの少女漫画だよ数正!!それに対する「あたりまえでしょ」な瀬名様も!!)、主人公の絡ませ方に、心底から感嘆感服です。
前回あれだけカッコよくキメた氏真が結局「間に合わなかった」という残念な結末に終わったことも。
かつて家康が岡崎を奪ったことに怒り狂い瀬名に自害を命じた氏真が、巡り巡って瀬名の首を前に間に合わなかったと、瀬名の命を救えなかったと泣いて詫びるとかなんという因果なのかと。
ひとりで碁を打っているのだと思った直虎が実は政次と打っていたってな話を信康の身代わりとなるべく決意した万千代が家康に語ったけど、碁盤に並べた碁石を万千代にスザーッと払われた家康が思わず「瀬(名)・・・」って呟いちゃったように、瀬名様はこれまで幾度も碁石ズザーッをしてきたんだよね。でも瀬名様は(すくなくともドラマのなかでは)一度も家康と碁を打ったことはなかったわけで、離れていても碁盤を通じ語りあい結びあってた直虎と政次に対し家康と瀬名様はそういう意味での繋がりはなかったと、それが最後の最後で夫婦がそれぞれ“勝手に”動いてしまう(それを伝え合うことはなかった)という結果として現れちゃったのかなとか思うと哀しいな。