大学進学を機に「自由になれる」と思ってた、思ってしまっていた洸人が戻ってきた理由は薄々そういうことなんだろうなと思っていた通りのことだったけど、いざそれが描かれるとなんとも言えない気持ちになるな・・・。
「仕方がない」んだよね。戻ってみっくんの世話をする以外の選択肢は「ありえない」んだから。
バスで同級生に会ってみっくん放置して降りちゃったこととかさ、このいきさつを見せられるとドラマが始まった当初の「凪のような暮らし」が洸人にとってどんなものであったのかを改めて想像してしまう。
そしてあえてこの表現をするけど洸人の「犠牲」によって、お兄ちゃんに守られて生きてきたみっくんが、ライオンという突然現れた異物によってどんどんと成長し、なんなら「お兄ちゃん」になってることは喜ばしいけどちょっと複雑だよね。
見ず知らずの土地で一人で買い物することができるわ、あれだけルーティンに拘って毎日を過ごしていたはずなのにライオンのために就寝時間を早めるというルーティン破りを決意してくれちゃうわ、自分の「犠牲」はなんだったんだろうなって、わたしだったら多分そう思ってしまうだろうから。
だからもっと洸人の「内面」を描いてほしいと思うんだよな。ライオンの素性とか姉のこととか、そういう“事情”はどうでもいいとは言わないけどここまで見てきてもやっぱりさほど興味はないのよ。
それよりライオンを預かることになってのみっくんの変化・成長に対し、局面局面で洸人がなにを思うのか、洸人自身にどんな変化が起きるのか、わたしが興味あるのはそっちなんだよ。
だって以前は誕生日の花束を買ってこれるかあんなにハラハラしてたのに、土地勘皆無の場所で「買い物行って来て」ってなどと気軽に頼めるようになってるとかなんなら洸人のほうがよっぽど「変わった」わけでさ、そこをもっとしっかり掘り下げて描いてほしい。
だから橘祥吾の存在が邪魔だとすら思ってしまうんだけど、でもライオンのチャームが落ちてしまい、それに気づかず出発し、そこへやってきた橘祥吾がライオンを拾って「愁人がここに居る・居た」ことを確信するのにはギャーーーー!となるんですけどね。
で、佐渡に居る以上これまでのように牧村さんに頼るわけにはいかないし、洸人が動けない代わりに動いてくれる人が必要になるのはわかるし、その役目を工藤が担うのも(ドラマとして)わかるんだけど、そこに至る過程の雑さはなんなん・・・。
デスクにノーパソ置きっぱなしって時点で「ん?」なのに、そのパソコンは書いた原稿を表示させたまんまでパスワード設定すらしてませんとかありえなさすぎて萎えるし、なにより柚留木が工藤にライオンの居場所を教えたことが理解できない。そこまで信用する・できる理由などないだろうよ。
あといくら洸人という人間を信用してるからだとしても、虐待疑惑があるからだとしても、これだけ世間を騒がせている問題の子供を匿うことにホイホイ手を貸す貞本の倫理観もどうなってんだよと思わなくもないし、ここにきて「ヒューマン」と「サスペンス」のどちらも中途半端な感じになりつつあるような。