真梨 幸子『5人のジュンコ』

5人のジュンコ

5人のジュンコ

高齢の男たちから金を巻き上げ、結果男たちは不審死を遂げる。男たちを手玉に取ったのは稀代の毒婦・佐竹淳子。
容姿に恵まれないこの女のかつての親友や事件を追うジャーナリストのアシスタント、ワイドショーをくまなくチェックし情報を漁る主婦・・・犯人と同じ「ジュンコ」の名を持つ女たちの物語です。
ですが。
もーなんでこんなに胸糞悪いんだよー!!。さいっあくの後味で、これぞ真梨幸子!!。
もうね、なにがすごいってジュンコ以外の登場人物全員胸糞悪いんですよ。胸糞悪いの中身はそれぞれ違うんだけど(これがまたすごい)、全ての登場人物に共感も同情も許さない。視点となる人物がたまたまカフェで出会った子連れの母親がネットに書きこんでた内容とか本筋とはなんら関係ないのに(即座に覗き見た掲示板を確認する視点人物含め)下種すぎる。モブまでくまなく厭女とかいつものことながら震えます。いや、震えあがります。
妬み嫉み恨み憎しみ、こういう女のマグマ渦巻く内面を描いた作品は多々ありますが、読み終わると結構「女で良かった」と思うことのほうが多いんですよね。勇気が出るとか自信がわいてくるとかそんな大げさなものじゃなくても、女ってしぶといよなー図太いよなー、私もまぁ頑張ろうとかさ、そんな気持ちになったりするもんなんですが、真梨作品は「うわぁ・・・ヤダなぁ女って・・・・・・(どん引き)」ってなる。でもそこが好き。