山下 貴光『ガレキノシタ』

ガレキノシタ

ガレキノシタ

初めて読む作家さんです。
突然崩壊した学校内に閉じ込められた生徒と教師が、酷暑の中瓦礫に埋もれ身動きができないという死と隣合わせの状況で、それぞれがそれぞれの人間関係と向き合う連作短編集で、全ての話の中に一人の男子高生が登場し、複数の視点からその人物を描く“桐島、部活やめたってよ”形式かと思いきやその人物自身の物語で〆ているので、いい意味で“普通”の1冊でした。3編目ぐらいまでは結構重めの設定であり展開なので最終的にどこまでいってしまうのかちょっと楽しみだったけど、期待してた方向には進まなかったけどまぁ前向きな読後感でこれはこれで悪くはないです。
しかし自分でありわだかまりがある他人でありといざ向き合うためには何か“キッカケ”が必要だということは分かるんだけど、ここまで・・・激しい“キッカケ”の割に超えるべき壁というか破るべき殻というか、それ自体はこう言っちゃなんだけど大したことないよなぁ・・・なんて思う部分もあったり。コストパフォーマンス悪くない?と。でもそれが登場人物たちの年代に限らず現代なのかなーとも思う。