住野 よる『か「」く「」し「」ご「」と「』

か「」く「」し「」ご「」と「

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“特別”な何かがあるわけではない五人の高校生たちの高校生活が描かれているだけなのですが、ひとつ変わってることと言えば、登場人物たちは他人の感情、気持ちがわかるということ。それは頭上に浮かぶ感嘆符だったり、数字(リズム)だったり、矢印だったりとそれぞれによってその“見え方”は違うのだけど、彼ら彼女らは自分なりの見え方で、他人の気持ちを“読んでいる”。
それぞれの章で視点となる人物が異なる構成で、最初の1編目は視点である男子生徒がある種の特殊能力の持ち主なのか?と思ったんです。でも2編目3編目と読み進めるとこれは誰もがやってる空気を読むってやつなんだなと、その(表現としての)可視化なんだなということがわかり、そういうつもりで読み進めたら4編目5編目で「特殊能力」であると、実際のそれが形として「見えている」のだと明記され、え?じゃあなに?五人揃って特殊能力、それも他人の感情がみえるとか能力を持ってるってことなの?とずっこけた。
読み終わってみればそんな特殊能力を持っていながらやってることは大好きで大切な友人同士の恋を応援することなわけで、描かれているのは特殊能力を持ちながらも自分の気持ち、自分のことはわからないそのもどかしさだったりするわけで、だからまぁ特殊能力はオマケみたいなものなのでしょうが、まぁ・・・私のような汚れた大人が読むものではなかったです。