打海 文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)

ドリーミング・オブ・ホーム&マザー (光文社文庫)

共感も共鳴も許さない展開に、むき出しになった肉を時に撫で時に抉るような言葉に、心が絶叫しながら読みました。
黒い獣の圧倒的な存在感が恐ろしくて哀しくて痛々しくて、たった一頭の犬に翻弄される人間が愚かで、だけどそれらの暴力に怯えながらも高揚する気持ちは官能的で。
そして、ああ、打海文三の新しい小説をもう二度と読むことはできないんだなぁ・・・・・・・と思ったら、絶望のあまり吐きそうになった。辛い。辛いよー。