Team申 第2回公演『抜け穴の会議室』@赤坂RED THATER

内容に触れてます


いいなーいいなーって羨んでたらwakaさんが誘ってくださいました!しかも最前列!!!(全力でアリトゥース!)どこかで最前は足を伸ばせば舞台に届くぐらいの距離ってのを目にしていたのでドキドキしながらもさすがにそれは言いすぎだろうwと思っていたのに実際座って足伸ばしてみたら届く!(わたしの足がもうちょい長かったならば・・・)ぐらいの勢いで普通に緊張のあまり吐くかと思いましたw。
ストーリーは、そこら中に本のようなものが散乱している光の射さない穴倉のような空間に一人の男がいて、次の瞬間ベッドごと点滴抱えた男がその空間に出現する。パニックになる男に、元々いた男はその空間についての説明を始める。その空間とはいわば魂が輪廻する前の場所で、何も覚えていない状態でこの空間に放り込まれた人間(魂)がそこら中に散らばる自分の歴史が書かれた書物を材料に、過去の自分を見つめなおすための場所だった。蜂の巣に似た空間は同じような部屋がいくつも隣り合わせになっていて、部屋が近い人間(魂)は比較的前世で繋がりが深い人であり、隣あった男と老人(現世での関係性が深い)は二人が共有する過去を思い出すために話しをし始める。名前のない二人はとりあえず先生(蔵之介)、部長(トオル)と呼び合うことに。一つ前の前世では部長がレンタルビデオ屋の店員、先生がその客として知り合い、長い友情を育んでいた。そのひとつ前の前世は部長が兄、先生が弟として兄弟の関係だった。やがて明らかになる二人の関係が魂としての二人にも影響を及ぼし・・・。かなりアバウトなあらすじですが、まぁそんな感じです。

まずね、最初にも書きましたがほんっとに舞台と客席が近いんですよ。それこそ役者の汗やら唾やらいろんな分泌液が飛び散るのがリアルに分かるし(蔵之介の唾がかかるかと思ったぐらいw)、客席のキャパも200ないぐらいなんでとにかく密度が濃い。そこで成熟した大人の男が二人っきりで文字通り濃厚な絡みを見せるわけですよ(なんかいやらしい言い方ですいませんw)。うん、眼福。まずはそれ。
二人舞台って言葉の掛け合いで話を動かす密室劇になりがちで、よっぽど展開が練られてないと見てるほうとしてはどうしても退屈する瞬間があったりするもんなんですが、これはほんっとに一瞬も退屈する瞬間がなかった。二人しかいないとは言え、二人の共通の記憶が含まれる書物に二人同時に触れるとフラッシュバックが起こるという設定で(書かれていることが鮮明に見えるというか頭の中で画になって再生されるってことでいいのかな)、フラッシュバックが起こった瞬間、前世、前前世で生きていた人物として別の物語が始まるわけですよ。別というか、実際に再生して見せてくれるの。だから実際には一人三役を演じてるわけです(メインとなるのは前世・前前世だから一人三役と書きましたが、それ以外にもダイジェストで戦場で戦う敵兵士同士、領主(蔵之介)と物乞い(トオル)、夫(蔵之介)と妻(トオル)www)ってのもあって、特に領主(王様だったかな)の時の蔵之介の顔がもうすっごい悪!でワロタw)。演じるほうは相当大変だと思いますが、それこそよく練られてるなと。
で、前世の方はトオルがすっとぼけたことをペラペラ喋る超マイペースなビデオ屋の店員で、それに客の蔵之介が片っ端からつっこむと言う形で、パンフの座談会でも三人(作・演出の前川さんを含めて)が揃って仰ってますが、飄々としながら次々とボケるのが蔵之介で、それに翻弄されながらも愚直につっこみいれながらついていくのがトオルってイメージじゃないですか。それをあえて逆にしたのがいい結果を生んだんじゃないかなーって。このパートすごく面白かった。トオルちゃんのいい意味で大らかなボケwに目血走らせながらつっみまくって挙句つっこみ疲れしてる蔵之介とかそうそう見れるもんじゃないしw。で、前前世の兄弟は、岩手とか秋田とかそこらへんの大学生なんですが、これがバリバリ方言なんですよ。蔵之介はさほどでもないんだけどwトオルちゃんの方言モエス!!しかも兄弟で一人の女を取り合うというナイスなシチュエーション!!!兄は明るくて自信に満ちていてきっと友達も多いんだろうなーってタイプで、弟は真面目で実直であんまり口数多いタイプじゃないのかなという感じで、そんな真逆のような二人の兄弟から想いを寄せられる“トモサト”ってどんな女なんだろう(羨ましい)と思った。わたしの想像では髪はショートでスカートよりもパンツを好むボーイッシュタイプで、でも性格は女の子らしくて外国文学を愛する女子・・・って感じだったんだけど。
最初のうちは二人の関係性の取っ掛かり部分、あの頃は良かった的な、和気藹々とした雰囲気で、フラッシュバックから戻ってきた先生と部長も「あーあー、あった!そんなことあったねー」「あの時貸した焼肉代まだ返してもらってないんだけど」「もう時効じゃん!!」なんて言いながらご機嫌で思い出話に浸ってるんだけど、時が経つ(フラッシュバックを繰り返す)につれ、どっちの二人の間にも変化が訪れるわけです。前世の方は、部長は北海道で実家のジンギスカンチェーンを継いでいて妻と子供がいるんだけど、その子供が白血病で骨髄移植待ちの状態。先生は部長の娘が入院する病院で救命救急医になっていて、ロビーで二人は偶然出会う。旧交を温めあおうとする二人なんだけど、方や医者、方や患者の家族という立場の違いから言い争いのようになってしまい、気まずくなってしまう。フラッシュバックから戻った二人はその頃の気持ちを引きずってしまい、こちらも気まずい空気に。前前世ではトモサトへの告白権利をロッククライミング(険しい山登りかな)で決めようということになるが、兄が足を滑らせてしまい、二人で死ぬことはないと泣く泣く弟がロープを切断し、兄は谷底へ落ちてしまう・・・。こちらもフラッシュバックから戻った後、気まずいどころかよそよそしい空気に・・・。フラッシュバックしたことで、あの時どんな状況だったかどんな気持ちだったか今さっきあったことのように鮮明に覚えてるわけで、どちらの場合も立場的によろしくない先生は必死に言い訳をする。それに対して部長は「しょうがないよ」「どうせもう終わったことだし」とちょっと投げやりっぽく言葉を返す。そしてお互い胸にモヤモヤを抱えたまま更にその後へフラッシュバックした二人を待っていたのは、事故だと思っていた兄の滑落は実は前日トモサトに告白しフラれた(トモサトは兄が好きだった)弟の中に芽生えた殺意によるものだったという事実だった。言葉を交わすこともなくなった二人。先生は一人前世の書物を読み進め部長の娘が助かった事実を目にし、部長に告げる。急に骨髄移植者が見つかり、無事移植に成功したというのだ。最後のフラッシュバックをする二人。そして娘への骨髄提供者は先生であることを知る。こんなことで前前世の事実がチャラになるわけでもないけど、でも助かってよかったと先生。そして先生は思い出す。ビデオ屋の店員と客という関係でしかなかった二人が再会するキッカケというかその瞬間に介在したおばちゃんがトモサトであったことを。娘を助けてくれて有難うと握手を求める部長。部長はようやく次の人生に進む決心がつき、先に行くけど次に会っても話かけるなよ!と言葉を残して旅立っていく。そして交差点ですれ違った瞬間振り返り会う二人。で終わり。
とまぁそんな展開だったのですが、途中からどんどん重くなる展開にこれバッドエンドだったらキツイなー(役者近いし・・・)と思ってたもんで、ハッピーエンドと言える着地だったのは気分的によかったんだけど、骨髄移植のくだりはいくらなんでも都合良すぎだろうってちょっと不満が残りました。で、家に帰ってパンフレット読んでビックリ。

HLA型(白血球の血液型)が一致する確立は兄弟姉妹4人に1人で、それ以外では数百万から数万人に1人とまれなため(中略)赤の他人でありながらHLAが一致するということは大昔に兄弟姉妹であった人の子孫が巡り巡って同じ型に生まれついたということで、患者の家族とドナーの家族は、時空を超えた親戚同士ということになる

パンフより。北海道骨髄バンク推進協会のサイトにある言葉だそうですが、わたしの狭い世界で判断して都合良すぎるだなんて思ってしまってごめんなさい。ほんと恥ずかしくなりました。これを読んで閃いたそうで、ここから広げた話ではあるんだろうけど、このことを理解した上で思い返したら全てがもう完璧にはまるところにはまった舞台だったんだなーって。それでもまぁ、トモサトが二人を合わせてくれたってのだけはやっぱり蛇足というかご都合展開だとは思うけど(基本ひねくれ者なんで)、時空を超えた親戚同士のいくらいい話であっても兄弟間の殺人という行為だけはどうしても現実的というか“浮いてしまう”わけで、それをこの物語の世界の中に組み込むにはこういうファンタジックなエピソードが必要だった・・・ということかな。
でも実際こういうふうに魂が器を変えて生まれかわる・・・みたいなことってあるのかなぁ。何をやっても上手くいくような幸運の星の元に生まれた人は前世や前前世が悲惨な人生だったからそれでバランス取ってるとかさ、因縁の関係っていわれるような人たちは前世でなにかがあったからだとか。どっちが言った言葉だったか忘れちゃったんだけど、人間は人間にしか生まれ変わらない、動物の魂は人間にはなれない、なぜなら“言葉”を持たないからみたいな台詞があった記憶があるんだけど、とすると生まれ変わったらオトコマエに溺愛されるワンコになりたいと思ってる(←バカ)わたしの願いは叶うことがないわけで、人口減少が問題になってる中、魂の数と人間(器)の数の釣り合いとかそこらへんはどうなるんだろう・・・中国人には生まれ変わりたくないなぁ・・・とかアホなことをいろいろと考えてしまいましたw。

初めての生トオルは想像以上に素敵でした!二人とも 魂=無 をイメージしてか、白一色の衣装なんだけど、トオルちゃんはラフなロングスリーブTシャツに白い軽く裾広がりだったのかなー、若干太めのストレートパンツに白いデッキシューズでして、ラフなTシャツ越しに肩の辺りの厚みがわかるわけですよ。で、いっちばんモエたのは、パンツの裾から見える足首!!!デッキシューズの中はスニーカーソックスを着用してらして、座るたびにパンツの裾がちょっとあがって、ちらちらと素敵な足首がチラ見えするわけですよ!くっはぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!たまんねw。あと特筆しとかなきゃいけないのは、トオルちゃんの髪の毛ですよ!あの人何歳?もう40ぐらいだと思うんだけど、ふわふわのさらさらなの!それに細そうなの!!もう髪質が超タイプ!!!
対する蔵之介はなで肩をカバーするようなシャツタイプのトップス(純白ではなく若干生成りっぽい色)に細いパンツで、白一色の衣装というくくりの中で、二人を最大限カッコよく素敵に見せるようこだわったのがよく分かりました。蔵之介の前世は医者ですから白衣もあり!藤吉先生キター!!(違うw)でもでも今この時期に白衣は絶対サービスだと思うわw。だって医者である必要は必ずしもないもん。病院で出会って娘のことを知る立場に立てればいいわけだし、もっと言っちゃえば病院に関係なくったっていいんだもん(とすると、二人の関係がきまずくなるという展開が難しくなるかもだけど)。それをあえて医者、しかも白衣を着用したのはやっぱりサービスだと思う。ありがたく頂戴しましたw。
とまぁ、どちらも素敵なお二人でしたが、これは書いておかなくては。二人ともニット帽似合わなすぎですwww。