『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第1回「ありがた山の寒がらす」

今「蔦重」が何歳設定なのかドラマを見ている限りではわかりませんが、子供時代をすっ飛ばして「この」蔦重から物語を始めるということは、子供時代に1話すら使う尺はねえ!という並々ならぬ意気込みを感じずにはいられない、そんな初回でありました。

主人公が生きる「吉原」という「場所」がどんな世界であり今どんな状態であるのかをキッチリ説明し、自身の出世目的ではなく(見る前は蔦重が「のし上がったるぜえ!」という物語だと思ってました)働く女たちがちゃんと飯を喰える場所にするため、「女たちのため」という主人公の動機であり物語の原点を明確にし、そして平賀源内や田沼意次といった「有名人」もしっかり出してこの先への興味を抱かせると、ここいらへんの手堅さは安心できる。まあスマホでグーグルマップ見てたけどw。

蔦重が副業として貸本屋をやっているというその描写ひとつでこの時点で既に商才があることと、あちこちに顔を出してる(顔が広い)ことと、吉原(江戸)では子供ですら文字を読めるということが理解できるし(そこで前作との比較もできるし)、この時代の「男」がこれほど「女のため」に動くか?と思うところだけど、女の筆頭が恩人である朝顔姐さんなんだからこの怒りと熱情は当然だし(加えて蔦重と花の井の“繋がり”も理解できるし)、その朝顔姐さんをあんな形で死なせる脚本にはあらゆる意味で震えるわ。

女たちが粗雑に捨てられるのみならず着物を剥ぎ取られることぐらい吉原で生きる者ならば「知ってる」ところを蔦重が連れ歩く唐丸を“記憶喪失”にすることで大事なことを蔦重に言わせることができるし、森下さんのことだからそれだけで記憶がないという設定にはしないだろうからこの少年の存在が今後どうなっていくのか(成長したら誰が演じることになるのかを含め)興味がわくし、女たちの描写に対して「忘八」たちの描写がコメディタッチなのも緩急のバランスではなく悪意めいたものを感じてしまう。蔦重をシメるべく並んで歩く主人ズはさすがに笑ったけど。

あ、そうそう!笑ったといえば「若様なりませぬ」「いいではないか」「なりませぬっ!」が『女中に高級弁当を押し付ける若様の図』だったのにはマジで笑ったw。蔦重をみて「おもしれー男」顔してたけど、その距離で会話が聞こえるわけねーだろwのツッコミ込みで初回最も美味しかったのは宮沢氷魚田沼意知でしょう!。

違う意味でおもしろかったのはどっからどうみてもチンピラを引き連れる長谷川平蔵なw。若いころは遊び人だったとはいえいくらなんでもこれはマジでチンピラすぎんだろうと、チンピラ手下に「アニイがヤリてえって言ってんだよォ!」などと大声で凄まれる鬼平とかすっごく厭なんですけどw。

楽しみなのは幕府パート。以前のわたしだったら「家治」と言われても何代なのかはもちろんのことその周辺人物含めほぼほぼ「知らん」となったでしょうが、NHK版大奥を見たことで少なくとも人物相関図はバッチリだからな!。