『大奥』「医療編」第13話

「赤面疱瘡で子供を失くす悲しい母と子を一人でも減らしたくて懸命に努力してきた者達にこの仕打ちか!!あまりに理不尽ではないか!!」

激しい雨に打たれながらの黒木のこの叫びが全てよね・・・。ただただ「理不尽」それしかない。 
新たな将軍を筆頭に多くの男たちが救われたというのに、救った側のツートップである青沼は死罪となり「青沼」という名前を消され大奥での働きを全て無かったものとされ、女も蘭学を学べるようになったというのに源内さんはくだらない争いのせいで罹患させられた病によってひっそりと命を落とすだなんて、こんなに理不尽なことってないよなマジで。
吉宗公の悲願を引き継ぎ赤面疱瘡撲滅のためにまさしく「懸命に努力」してきた者達の、その努力が、その想いが、政争の道具になってしまう虚しさたるや・・・。

しかもさ、なにが虚しいって家治の手のひら返しよ。
「私の側にいながら毒を盛られ続けていることになぜ気づかなかったのか」「病の理由が分かったというのになぜ私を治せぬのか」と田沼と青沼に言いたくなる気持ちはまあわからんでもないけどさ、「バケモノ」はないよな・・・。
時の将軍がこれほど愚かな女であったことが田沼にとっても青沼にとっても不運だった、ということなのでしょうが、とは言え他の女であったならば田沼がこれほどまでに権力を得ることはなかっただろうし、さすれば「青沼」が誕生することもなかっただろうわけで、そして結局のところこの理不尽は「吉宗公の血筋」によるものなわけで、黒木は「貴様らは母になった事がないのか!?母ならば男子を産んだ事はないのか!?産んだならばその子を赤面で亡くした事はないのか!」と問うたけど、全ては『息子を産んだ母』による計略だっただなんて(治済の息子はセーフで定信の甥がアウトだったのはさすがに偶然というかそれこそ運命ということなのでしょうが、もし死んだのが自分の息子であってもその死を利用しただろう)、なんでこんな酷い物語を生みだすことができるんだ・・・・・・。
しかもさ、こんなに酷い物語の芯には「ありがとう」という言葉であり想いがあるのよ。
青沼も源内も田沼様からの「ありがとう」を抱いて死ぬとかさ、ほんと酷いよ。酷いって!(褒めてる)。

それはそうと黒木の慟哭は最高でした。初回こそ出番ありまくりだったけど以降は(画面に映ってはいるものの)埋もれることが多くて、それでもちゃんと存在感があるから不満はないものの物足りないなとは思ってたんで、最後に見せ場があって満足です。
予告にものすごい髭もじゃの人がいたけどあれ黒木?。青沼門下生たちの戦いはこれで終わりではないと思ってて大丈夫です??。