『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』

わたしこれ原作を読んでいて作家さんが大好きなので(この作品はそうでもなかったんだけど)、ドラマの出来によっては原作が酷評されるのを目にするかもしれないと覚悟はしていたわけですが、そんなに悪くはなかった・・・・・・っぽく・・・・ないですか・・・・・・?(おそるおそる)。
他作品と比べてどうこう言うのは争いの元だけど、少なくとも元彼のなんちゃらよりは面白かったと思うし、原作既読者としてまずまずのドラマ化初回と言っていいかと。

ていうか原作だと上水流涼子は30代の設定なんですよね。それこそ綾瀬さんあたりをイメージするキャラクターなんですが、そこに天海祐希を配役し、ハッキリ言うけど年齢を上げることが上水流涼子というキャラクター像にどう影響するかと思ってたんだけど、違和感はなかった。それどころか年齢を上げたことでいい意味でふてぶてしさとか図々しさがキャラとしてしっくりくるし、それによりこちらは原作のイメージぴったりな松下洸平の貴山に対するセクハラパワハラ発言も別段引っかかることなく日常の戯言として聞き流せるし、初回からしっかり涼子と貴山のバディ感はあったんで、もう一度言うけど「まずまず」という印象です。

弁護士ではなく探偵という立場であるから依頼を完遂するためならば手段は問わない(原作では「殺人以外」ならなんでもやるという設定だったかと)一方で、ターゲットの妻を嵌めるときにあらかじめ皿には力などなにもないことを伝えておいたり、離婚届にサインさせるための交渉といったあたりにはちゃんと「元弁護士」であることが活きてるし、悪人にはしっかりと報いを受けさせ本来の依頼人も依頼のために嵌めたターゲットの妻子も救い、でも結果は赤字というオチも良かった。
ただ初回はターゲット役が高嶋政伸であったから、ドクズな高嶋政伸が相手だったからこその面白さであったとは思うんで、今後どれだけゲストを揃えられるか、かなー。

それと、原作は貴山と涼子の関係には仕掛けがあるんですよね。なぜ貴山が涼子の下で働くことになったのか、そこにドラマがあるんだけど、そこが原作通りであるならば上水流涼子の年齢を上げたことが引っかかるかもしれない・・・とは思うかな。あまみんの涼子はそう簡単に“そういうこと”になりそうにはないわけで、改変するにせよしないにせよ、どんなアプローチで二人の出会いが描かれるのか楽しみ。

あ、それで言うと原作って各章題が「〇〇的にあり得ない」だった記憶があるんだけど(読んだのは結構前なので記憶違いかもしれないけど)、ドラマはそんなサブタイが付いてるわけじゃないよね?。とするとドラマタイトルの意味というかなんでこんなタイトルなのかわからなくない?。
毎回涼子にキメ台詞として「合理的にあり得ない」と言わせるんじゃないかと思ってたからそんなことにはならなそうでそこは安堵したけど、原作がそうだからというだけでなくドラマ作品としてタイトルに意味を持たせる必要はあると思うんだけど。