『ファーストペンギン』

奈緒が主演で寂れた漁港を立て直すドラマで実話が元になっていて鈴木伸之が出る。
事前に知ってた情報はコレだけで、「鈴木伸之が出る」←コレだけでもちろんわたしは視聴を決めていたわけですが、直前になって「堤真一も出る」「脚本は森下佳子」という情報を目にして期待値を直角にぶちあげての初回視聴でしたが、ふたを開けたら堤真一吹越満梶原善が文字通りの『トリオ』でびっくり!!。
演技力は認めるものの、失礼ながら奈緒さん主演は弱いというか早いというか、そもそも脇で光るタイプなのではないか?と、まあそんな感じの印象でしたが、だからと言っていいのか主演を支えるキャストがド安定のおじさん揃いでそれが森下脚本(原作アリ)ときたらこれはもう鉄壁の布陣と言っていいかと。

実家があるとか、なんらかの縁があるから舞台となる寂れた港町に子供を連れてやってきたのだろうと思ったら、どうやらまったくの見ず知らずの土地のようで、そこには主人公が「先生」と呼ぶ渡辺大知のアドバイスという名の策略があってのことっぽいけど(この人は死んだ妻の連れ子か?)、そこにどんな事情・背景・思惑があるのかはおいおいとしても、進む道がはっきり見える初回だな。

「はっきり見える」なかには主人公が『女であること』も含まれる。
元となってる実話もおそらく「若い女性(シングルマザー)」が「男社会オブ男社会の漁業を立て直した」ってことが肝なのだろうと推察するけど、さんし船団丸の依頼を受けた主人公がここまで突っ走るのは過去の出来事からして主人公が「そういう人間」だからだってことは初回にしてもう「わかる」んだけど、でも劇中ではまだ誰も主人公が「そういう人間」であるとは思ってない。
よそからやってきて“女を使って”統括さんにハンコを押させた「女」だし、さんし船団丸の人たちだって「社長の亡くなった奥さん」を重ねて見てるだけ。
きっとこの先「女だから」ってんで様々な障害や妨害に遭うことになるのでしょうが、そこは森下佳子なんでどんと構えて見ていられる。この安心と信頼感はデカイ。

それから奈緒じゃ弱いのではないかと初めに書いたけど、変な先入観とかイメージとか、そういうものがついてないのでフラットな気持ちで見られることはありがたい。
これが(同じぐらいの年齢繋がりで名前を挙げますが)土屋太鳳とか吉岡里帆とか二階堂ふみといった“強気”イメージの女優だとラストで啖呵キメても「はいはいわかりました」と思ってしまいそうだし、かといって伊藤沙莉とか広瀬アリスあたりだと癖が強すぎるし、奈緒さんは強からず弱からずで見やすい。


で、主人公がこういう啖呵をぶちかませる人間だということは、事実上のヒロインは鈴木伸之ですよねーw。