古野 まほろ『叶うなら殺してほしい ハイイロノツバサ』

読みにくい・・・とにかく読みにくい・・・。
癖ありまくりオブ癖ありまくりの文体・文章が読みにくいのは当たり前なんだけど(その読みにくさを読むために読んでる(←謎の日本語)のでその読みにくさについてはむしろ歓迎)、本そのものが読みにくい。
ソフトカバーで3.5センチぐらいあって、ハードカバーならこれぐらいの厚みは重量的にはキツイものの「本を読む」こと自体はそんなに苦ではないけれど、ソフトカバーだとぐにゃぐにゃ感が実に読みにくい。

そんな物理的読みづらさに耐えて読み進めた中身といえば、

女子高校生が帰宅途中に四人組の男によって拉致監禁され、ありとあらゆる暴行・悪行が行われている監禁場所の一軒家が火事になり、被害者女子高生を含む三人が死亡、一人は全身大火傷で生存の可能性は数パーセント。ただひとり家主の息子だけが五体満足で生き残る。すぐに「被疑者」となった少年は当初完全黙秘を貫いていたが、出版社と手記の出版契約を結んだタイミングで突如雄弁に、能弁に事件について語りだした

というものでして、そんな胸糞話を読みづらさに耐えながら読むだなんて、つくづく私は物好きだなと思う次第。

鬼畜の所業を尽くしに尽くしまくった被疑者の少年を取り調べ、事件について捜査する警察の視点で描かれるのですが、主人公となる主任管理官は「身元不明 特殊殺人対策官 箱崎ひかり」で主人公を務めた箱崎ひかり警視です。つまりゴスロリ。タブピーポもスマピーポも健在。

事件の内容はとにかく胸糞の一言なんだけど、言葉を選ばずに言うと「面白かった」。
まず火事が発生し、鬼畜の所業が発覚し、そこでなにが行われていてなにがあって出火したのかについて調べることになるわけだけど、捜査の過程で加害者と被害者にとんでもない因縁があることが判明するんですよ。で、中盤を過ぎると事件の関係者で素性のわからない「権兵衛」の存在が事件のど真ん中に躍り出て、そして加害者と被害者の最後で最期の「願い」が浮かびあがるのですが、前作もそうだったけどゴスロリを筆頭にありとあらゆる“装飾”を取っ払うと筋道が立っているんですよね。それぞれ思惑を抱え駆け引きをしつつも優秀な警察官たちがキッチリ段階を踏んで一歩一歩真相目掛けて進んでいくんですよ。始まりの「疑問」から最後の「答え」まで至極真っ当なの。

でもその“装飾”があまりにもアレなんで「マトモ」な小説を読んでる感はまったくないという。

前作に出てたか記憶にないんだけど(出てたら覚えてると思うんだけど)、ひかりの愛弟子(でも年上)であるナギの「キャフフフッ」ってな笑い方とかなんなのほんと。「キャハハハ」か「ウフフフ」であればそんなに気になることもなさそうなのに「キャフフフッ」となると気になるというか気持ち悪いのなんのって。
だがしかしそこがまほろ。その“装飾”こそが古野まほろ