古野 まほろ『外田警部、カシオペアに乗る』

外田警部、カシオペアに乗る

外田警部、カシオペアに乗る

愛媛県警察部捜査一課所属、外田保丞警部。
方言まるだしの、ずうずうしくて人なつこい惚けたおとこ。
しかし、彼の左瞳が光るとき、被疑者はもう、詰んでいる―――

この帯見た瞬間笑いがこみあげてしまいました。『被疑者はもう、詰んでいる―――』て(笑)。「左瞳」と書いて「ひだりめ」と読むて(笑)。
コロンボから古畑、最近では現在ドラマ放送中の福家でお馴染みの倒叙形式で、それプラスタイトルから鉄道ミステリ要素もあるかと思うかもしれませんが、主人公の外田警部が毎度鉄道乗車中たまたま事件に出くわしその捜査手腕を買われてそのまま捜査に加わるってなパターンなんで、時刻表トリックだの乗りかえトリックだのその種の要素はありません。
「人なつこい」は物は言いようというか受け止め方は人それぞれではありますが、「方言まるだし」で「ずうずうしくて」「惚けた」「おとこ」はその通り。加えて本文中に複数の犯人が『ずる賢い妖精のように粘着質』と表現していて、“ぞなぞな”うるさいヨレヨレトレンチコートに年代物の銀縁眼鏡(ってどういうこと?)のオッサンに対し『妖精』という言葉を使うあたり、まほろだなぁ・・・と生暖かい笑みが。
外田警部は愛媛が生んだ連続強盗強姦殺人犯・砂糖蟻夫の身柄を押さえるために日本全国津々浦々に出向きその先々で事件(犯人)に出会ってしまうわけですが、ちょっとしたキッカケひとつで早々に犯人の目星をつけ、じわじわと駒を進め最終的に「王手詰み」で犯人を落とす優秀な刑事として表彰されるほどの「猟犬」なのに、その砂糖蟻夫に関しては毎回あと一歩のところで逃げられるんですよね。何やら次回作は「TGV」に乗るそうなんで、この砂糖蟻夫を“理由”に日本のみならず世界まで出掛けちゃうようですが、それはまぁいいとしても話(トリック)が酷すぎてですね、なぜ○○だと断定するのか?トリック以前になぜこの○○が可能だったのか?などなど引っ掛かる箇所が多すぎてとても謎解きを楽しむレベルじゃないわこれ。だったらせめて外田警部が魅力的ならばいいけど好みじゃないしワトソン役もいないし、これは追わなくていいかなぁ・・・。