斜線堂 有紀『楽園とは探偵の不在なり』

楽園とは探偵の不在なり

楽園とは探偵の不在なり

館に行きたくて読んだ作品が消化不良だったので、勢いで“それっぽいニオイがする”作品に手をだしてしまいました。これまた初めましての作家さんです。

結論から言うと、面白かった!!。

ある日突然世界中に天使が降臨した。天使は人間を二人殺した者を問答無用で地獄に引きずり込む。よって世界から“連続殺人”がなくなったが、どうせ地獄に行くならより多くの人間を道連れにする自爆テロが増えた
という世界観のなか、家族のような存在である探偵事務所の仲間を自爆テロにより奪われ探偵として生きることをやめてしまった主人公が「天使が集まる島」に呼ばれ、そこで次々と人が死ぬ、という作品でして、館自体には種も仕掛けもないし、天変地異等の理由で外部と連絡が取れない孤島になってるというわけでもないのですが、私の館に行きたい欲は充たされました。

事件関係者にはそれぞれ因縁があって、因果があって、ゆえに死ぬ者は死なねばならなかったし、生き残った者はこれからもそれぞれの道で生きていく。

突飛な設定だけど、それがちゃんと活かされていて、綺麗に閉じられた物語はなんだか少し新しい気がしたのですが、作家さん二十代なのか・・・。