中山 七里『毒島刑事最後の事件』

毒島刑事最後の事件

毒島刑事最後の事件


「作家刑事毒島」は読んでいるものの犬養隼人が「犬ちゃん」と呼ばれているスピンオフというか、“新人時代の犬養”のつもりで読んでいたので毒島というキャラクターにはこれといった印象を持っていなかったわけですが、こんな強烈なキャラでしたっけ?。厭なヤツだなーと思った記憶はなんとなくあるのですが、ここまでアクが強い印象はなかったので(それだったらもうちょっと記憶に残ってそうだし)最初はちょっと戸惑いがありました。

大手町でエリートサラリーマンが射殺される連続殺人が起きて、出版社を狙った連続テロ事件が起きて、独身女性が顔に硫酸を掛けられる連続殺人未遂が起きてそれぞれの事件の背後には「教授」と呼ばれる人物の存在があった


以下内容に触れてます。









ってところまではそこらへんに吐いて捨てるほど転がってる設定ですが、それ(このポジション)が女性というのはあまり記憶にないので(ドラマでなら直近で言うと『美食探偵』という作品が思い浮かぶ)ちょっと驚きつつ、毒島が自分の「同族」である女性をどう攻めるのかとワクワクしたのですが、でもどこか違和感があって、その違和感の理由はわりとすぐ解って、ほぼほぼ同時に作中でも“女性は教授ではなかった。女性もまた教授の駒であった”ということが毒島によって暴かれ、なるほどなるほど!でも残りはほんの10ページぐらいしかないけどここからどんなびっくり展開が待っているんだ!?とMAXワクワクするも、タイトルから予想できる結末通りで、そういう意味で尻つぼみで終わってしまった感。