- 作者: 秋吉理香子
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2018/08/21
- メディア: 単行本
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容疑者の女性がなぜ高次脳機能障害になったかというと、両親と共に出かけた銀座で通り魔に遭い、逃げたところを車に轢かれたからで、現在の夫は自分を轢いた車の運転手だというなかなかに凄い設定なんですよね。そして重度の記憶障害を患っていて、二十年前からの記憶がほぼなく、自分が殺人を犯したことも覚えていない、自分がいまどこにいてどんな状況にあるのかもわからない。そんな“容疑者”に対しどう事件の捜査をするのか、ここに絞って書けば面白いものになりそうなのに、女性刑事の話が邪魔でなぁ・・・。
結構な事件だろうに、実質捜査してるのが女性刑事とその相棒の二人だけで、報告を上げる相手が署長って時点で警察パートは適当すぎるわけで、だから事件捜査を描くつもりはないのでしょうが、なまじ“事件の真相”が記憶障害という設定をしっかり活かしたいい感じのエグさだもんで、なんでこのアプローチなんだよー!と言いたくなってしまう。最後は「難病ヒロインの恋愛映画」みたいな終わり方だし・・・。