石川 智健『キリングクラブ』

キリングクラブ

キリングクラブ

初めての作家さんです。
千代田区の地下にエリートサイコパスが集う超高級秘密クラブが存在する。会員になれるのはサイコパスのなかでも1%ほどの社会的成功者のみ。その会員が生きたまま開頭され脳から感情を司る扁桃体が抜き取られ殺される。クラブの運営者から3人の容疑者の名前とともに捜査を命じられた「番犬」の辻町は、新入りの「給仕」である藍子とともに事件を調べるが、その容疑者も同様の方法で次々と殺害され・・・という物語で、一応の主人公は藍子という女性になります。

一応というのは、図式としては藍子が表の仕事は捜査一課の刑事である辻町と事件を調べるというものではあるものの、捜査自体の描写はさしてなく、容疑者であり連続殺人の被害者であるエリートサイコパス(って、改めて書くとなんか笑ってしまう)たちの視点、サイコパスとしての暮らしぶりを描く割合のほうが多いんですよね。で、その構成に物語全体に掛かる仕掛けがあるのかと思ったらそういうこともなく、『真犯人』の行動・言動含め「サイコパスだからね」で終わってしまうというか、「サイコパスの話でした」というだけの作品でした。

それはそれで面白かったけど、真犯人が判明してから(読者視点としてはむしろド本命の人物が犯人なので)もうひと捻りがあると良かったかなー。