麻見 和史『水晶の鼓動』

水晶の鼓動 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)

水晶の鼓動 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)

女性刑事登用のモデル(サンプル)ケースとして捜査一課に配属されたよく大学生と間違えられる小さいけれど前向きで頑張り屋の女性刑事が主役の警察小説です。
↑これだけで大体想像がつくかと思いますが、恐らくそれは概ね合ってると思います。もうこのジャンルでキャラを含め目新しさを出すのは難しいですもんね。
で、今作は自分が女として“特別扱い”されてる自覚はしっかりとあって、その中で女としての自分に求められてるものを理解しようとし、その上で自分にしか出来ないことを見つけようとするという女刑事で、特別「美人」扱いや「アイドル」扱いされるわけでもなく、そういう意味では普通の警察小説として読めるし、同性目線としてもこの主人公は悪くないです。
主人公とともに捜査にあたる特殊班員たちもそれぞれ薄からず濃からず丁度いいキャラ設定(キャラ描写)で、こちらもまずまず。
そんな彼女らが捜査する事件も変な表現ですが節度ある猟奇的事件(殊更に猟奇的な描写がなされていない)で、同時期に発生している大規模テロ事件との繋げ方も○○殺人の変形版って感じでなかなか面白かったし、刑事部と公安部の駆け引きもいいスパイスになっててスイスイ読めます。
所謂謎解きパートである犯人の独白部分は主人公の説教含めてちょっと冗長すぎるかなーとは思ったものの、次作(シリーズ化)が楽しみ。