
- 作者: 今野敏
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/11
- メディア: 単行本
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・・・途中までは。
事件自体のアイディアは面白いと思うし、どういうトリックなのかぼんやりとは理解できるもののはっきりくっきりとは理解できないのでどうもモヤモヤする・・・的な気持ちを視点となる刑事と共有できるので、途中までの引き込み具合はなかなかのもんでしたが、いざ実験という名目でそのトリックがどのようなものなのかを証明したところまではよかったもののじゃあそれを実際の事件でどう使ったのか?ってことがそこまでハッキリと、というか、具体的な形では描かれず、そのうちにプロファイリングで導き出された犯人像が発表されあれよあれよという間に犯人に辿りついてしまうもんだから後半はかなりの駆け足で残念でした。スピード感があると言えなくはないけど。
事件と並行して刑事が家族へ抱いている想いも描かれているのですが、これはちょっとどっちつかずでした。要するに会話が大事ってことでしょう?と。そんなことは分かっているけど分かってるからと言って共通の話題もなけりゃ妻子の気持ちが理解できないから会話が出来ないってのが悩みの種なんであって、こんな簡単にいい雰囲気になれるならばこのパートは不要だったのではないかなーと。恐らく刑事が女性心理捜査官に抱く複雑な感情をセーブするために『家族』という存在を用意したのだと思いますが、どうせこの手の要素を入れるならもっとしっかり(もうちょっと深く)描いて欲しかった。