- 作者:早見 和真
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/10/30
- メディア: 単行本
タイトルの「ロイヤルファミリー」とは王室のことではなく、「ロイヤル」の名をつけられた競走馬たち、そしてその馬主である山王社長とその家族たちのことで、それを税理士として父を支えるという夢を絶たれ、山王社長のマネージャーとなった栗須という男の視点で描かれた物語です。
私は競馬をやる(馬券を買う)ことはしませんが見るのは好きだし、実際に競馬場に行ったこともあるんでレース当日の場内の様子もレースの描写もそれだけでワクワクするし、なにより“ワンマン社長”と聞いて誰もが思い浮かべる最大公約数のような山王社長を筆頭に、登場人物たちがとにかく魅力的。もちろん馬も。
かなり長い年月を描く物語なので山あり谷あり(谷のほうが多め)の波乱万丈と言った感じですが、真ん中を貫いているのは「父と息子」「親と子」の物語なんですよね。いくつかの「父と息子」でありいくつかの「親と子」がありますが、すべてにおいて両者をつなぐのは「馬」なんです。良くも悪くも競馬に人生を左右される人間たちの物語はこみ上げる瞬間が何度もありました。
ていうか最後の1ページですわ。言葉で描写せずにこの1ページで想像させるところがニクイ!。いい小説を読んだー!と良い気分になれました。