相場 英雄『KID』

キッド

キッド

帯に「殺人の濡れ衣を着せられた元自衛隊員VS政府が秘密裡に構築する巨大監視網」とありまして、それはそれはワクワクで読み始めたわけですが、思ったほどのスペクタクル感はなく、元陸自空挺部隊で隊長を務めた男が主人公のわりにはアクションもそれほどではなく(カーチェイスとかあるんだけど常識の範囲内で、もっと「どんだけだよ!?」という超人的なヤツを期待していたので・・・)、ちょっと私前のめりすぎちゃったかな・・・という感じでした。

まあ主題は「巨大監視網」との戦いであるわけで、どうやってその監視網を潜り抜け目的のために行動するかが肝なので派手なアクションが繰り広げられると思うほうが間違いなんだけど、めったなことでは使うことが許されない(以前使ったのは数年前で対テロ案件)監視網というわりにはそのすごさも怖さもそこまで感じられなかったんで、主人公が自衛隊を辞めることになった理由、主人公が陥れられた事件の背後にある陰謀、思惑、そういったものもひっくるめてこの言葉をもう一度使うけど「常識の範囲内」に収まる物語でした。

とはいえ主人公を筆頭に主要人物たちがそれぞれの立場、職務に対して誠実かつ大胆なので、そこは読んでいて気持ちがよかったです。