月村 了衛『土漠の花』

土漠の花

土漠の花

まだ2冊しか読んでませんが、こう宣言することに躊躇いはありません。
私、月村さんのファンです!!!!!。
今この(イスラム国という存在についてこれだけ多くの情報を知ることができる)タイミングでこの作品を読み月村了衛という作家を知ったことに運命を感じてしまうほど、猛烈に興奮しています。
戦う男たちカッコいいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!。
物語としては、海賊対処活動の手伝いをするためにソマリアに派遣された自衛隊員(陸自第一空挺団)が墜落したと思われる有志連合舞台部隊のヘリの捜索に向かった先で現地民の女に助けを求められたことで女を狙うソマリア民兵との死闘を繰り広げるってな話で、そこに石油を巡る利権やアメリカの陰謀(思惑)なんかも絡んだりはするんだけど、まぁ自衛隊員によるサバイバルアクション小説だと言ってしまって構わないと思う。自衛隊員が “偶々”活動した先で“偶々”女に出会ったことで戦うことを余儀なくされ次々と命を落としていくんだけど、彼らが何のために戦うのか、何のために命を捧げるのか、そこは正直よくわかんないんですよ。正義感とか誇りとか、そういうものはあるんだろうし、何より相手は口封じする気マンマン(殺す気マンマン)で向かってくるわけで、死にたくなければ戦うしかない状況ではあるんだけど、小説としてはそこに更なる“何か”が必要なわけで、それがしっかりと描かれているとまでは言えないと思う。でもそこには隊員同士の間には複雑な感情があったりして、そこが熱いんですよ。特に由利と梶谷の関係性ですよ!。女子としてこれは漲らざるを得ない!!。
アクションでありサバイバルでありバトル小説としては、例えば私が敬愛する深見真さんが描くソレのほうが残酷で残虐で血みどろだったりするし、「戦士」の描写も純粋なカッコよさという意味では深見さんに軍配が上がる、と私は思うのですが、月村さんの作品はまだ機龍警察とこれ2冊しか読んでないもののキャラクターにいい意味での隙があるんですよ。言い換えるなら弱さがあると思うんです。まずそこがいい。さらにそんなキャラクターたちの間にある関係性。前述の由利と梶谷とかもう二人のやりとり、二人の決意、それを踏まえてのお互いに対する最終的な想い、それら全部ベタ以外のナニモノでもないんだけど、でもそのベタさをストイックなバトル描写が中和する。人情話にはならない。そこに月村さんならではの魅力を感じます。