石持 浅海『崖の上で踊る』

崖の上で踊る

崖の上で踊る

GW中の那須高原の保養所にあつまった男女10人。彼らの共通点は「フウジンブレード」という企業により人生を狂わされたことで、その目的は社長以下幹部社員への復讐。一人目を殺すところまでは計画通りに進むが残り二人を殺す機会は明後日しかないためしばしの間休息時間となる。ひとまず自室に戻り身体を休め、再び集合した彼らが見たものは仲間の死体であった。

という始まりで、このあと当然のごとく連続殺人に発展する典型的なクローズドサークルものではありますが、クローズドサークルを作る要因が『復讐殺人を企てているから』という心理的なものであることが特徴です。さらに、殺害方法にはなんのトリックも仕掛けられてはおらず至ってシンプルなものなので、謎解きというより、当初は復讐相手=敵と戦う同志であり味方であったはずが、その味方を殺されたことにより味方の中に敵ができてしまう心理劇の趣が強く、最終的には犯人当てにはなるもののそこに至る人間模様、もっと言うと愛憎劇になっているのでなかなかの変化球。
さらに



以下、ネタバレしてます












複数いる殺人者の全員が「女性」であることも興味深い。主な視点となる人物も女性だし、読み終わってみると女は強い、そして怖いという印象が残るところが面白かった。