- 作者: 今村昌弘
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2019/02/20
- メディア: 単行本
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「屍人荘の殺人」の“続編”ではなく“シリーズ第2弾”だそうで、しっかりと次作への引きのある終わり方をしていて、デビュー作からいきなりこれだけのスケール(次作で終わるとは思えないし、どこまで続くかわからない)の「シリーズ作品」を出せるってすごいなぁ。
前作と同様に舞台は「クローズドサークル」ではありますが、今作はそこにはさして意味がなく、クローズドサークルの中で「人が死ぬ」ことの理由を突き詰める作品で、その理由とはズバリ『予知能力』。ゾンビに続いて予知能力。班目機関というあやしすぎる存在が柱としてあることだし、このシリーズは毎回こういうトンデモ要素が鍵を握ることになるのかな。言い方を変えると班目機関はトンデモ研究しかしてねえ!ってことになるのかと。そういうことならその視点でこのシリーズの行き先を追いかけるわよ!(比留子さんと葉村君の関係性には興味ないんで)。
論理のアクロバットは今作も健在。クローズドサークルに閉じ込められた“一見なんの繋がりもない人々”が予知能力=『予言』に導かれ、そして踊らされるわけですが、歌や伝説に対する“見立て殺人”と意味合いとしては変わらないように思うものの、「予言」となると「保身」という動機の・・・強さ?が増すというか、「あと何人」に確信感が生まれるわけで、さらに信じるだけの「根拠」が(その人には)あるときたらそりゃこの動機で動くわな・・・と、「予言ありき」の展開・論理にこれだけの説得力を持たせるのはさすが。
さらにそれは「本物」だけど「偽物」であり、その動機は陳腐というか、しょーもないもので・・・というオチ、それに対するトドメの断罪、この後味の悪さも好き。