石持 浅海『殺し屋、やってます』

殺し屋、やってます。

殺し屋、やってます。

一部上場企業に勤めるサラリーマンの平均年収である650万で殺人を請け負うビジネス殺し屋が殺す相手について調べる中で引っ掛かった事柄について謎解きをするという日常(?)ミステリですが、いつもながらに後味悪いのなんのって。調査対象というか殺す相手は650万という金と引き換えにしてでも殺したいと思われているわけで、一見そうは見えなくてもそれだけの理由があるというか、それが殺人という行為の理由になるかはともかくとして死ぬことにより多くの人間を救うことになる(かもしれない)という話から始まり、殺してくれと頼んできた“依頼人”の胸糞悪い話を挟み、ちょっと人情的な“殺されたい理由”の話になったかと思ったらやっぱり謎解きは後味がよくないもので、ていうかそれが真実なのかどうかは別として殺し屋の人間性に対する「(殺し屋やってるぐらいだからおかしいことは間違いないとしてもそれにしたって)こいつおかしくないか?」ってな思いが強くなったところでその殺し屋当人を殺して欲しいという依頼が来る、という流れの見事さに感嘆してたらその殺し屋自身の話がいちばんしょーもないもの(大した話じゃない)ってところが実に私の中の石持さんらしい。
一番石持さんだなーと思ったのは殺人ビジネスを構築したのが医者と地方公務員という社会的“勝ち組”だってところ。