小林 由香『罪人が祈るとき』

罪人が祈るとき

罪人が祈るとき

いじめで息子が自殺し心を病んだ妻にも死なれ、一人残された男は真実を求める。家庭に問題があり親友に裏切られ現在進行形でいじめを受ける少年は、いじめの首謀者を殺し自分も死ぬことを考えている。そんな二人の繋がりを描いた作品なので「苦しみ」に満ちているのですが、少年はいじめを受けている最中に『ピエロ』と出会うのです。少年の殺意を知り殺害計画を立てたらそれを手伝ってくれると言うそのピエロのことを少年はペニーワイズのイメージから『ペニー』と呼ぶのですが、それが妙に面白くて、それは作者の意図するものではないのでしょうが、それでもその妙な面白さが苦しみを薄めてくれました。