『アンナチュラル』第5話

すごくすごくすごく面白かったし面白いんだけど、それを感想にするのがとても難しい。「面白い」としかいいようがない。
「女の幸せ」の象徴が安物のネックレスで、幸せごとそれを奪い偽装のために冬の海に飛び込み死後も堂々とそのネックレスをつけ葬儀の場で「なんであんな子が私より幸せなの?」「私は悪くない」と言い切る犯人の女の狂気、そして中堂の狂気によって解放された鈴木さんの狂気。
自分たちの仕事が、自分たちが探し見つけたどり着いた真実が引き起こしたこの結果。
顔は笑ったまんま慌てふためく木林さんに「きょ、協力を・・・・・・・要請する」という中堂の見事なデレから始まり、中堂の部屋にひとりずつやってきて呑んだくれて転がる二人と少し距離が縮まる中堂とミコトを経て、その先にあったのはどこまでも深い中堂の闇であり覚悟だったとかすごすぎるわこの展開。
「なにかできることがあれば」というミコトに「今やってる」と応えた中堂。そこにあるであろう二人の想い。なまじ距離が縮まったと思わされてしまったぶん、中堂がしたことの衝撃がより一層強くなる。
1話から言ってた東海林の「異性間交流会」の話のなかで六郎に「鈴木さんにとって恋人の存在が『人生全部』だった」と言わせたのが利いてるよね。
人生全部を奪われた鈴木さんにとって、犯人の女が命を取り留めたことはほんとうによかったのだろうか。
鈴木さんが殺人犯にならなくてよかったと思う一方で、あのとき鈴木さんは殺すつもりで、殺す覚悟で刺しただろうに、殺せなかったことで、恋人の居る場で恋人を殺した女を殺せなかったことで、この先一生地獄のような時間を過ごすことになるかもしれないと思うといっそ殺せたほうがほかったんじゃないかとも思ってしまう。
それはつまり中堂と同じ、だよね。
中堂の過去と木林の協力で中堂が探しているものが明らかになり、中堂がなにをしようとしているのかも見えてきたけど、鈴木さんという存在を、鈴木さんという男の想いを噛ませたことで、中堂のそれを気持ち的に否定できなくなってしまった。「刺す場所」をわかってる中堂にとって、それが今の中堂にとって人生全部なのだろうから。
ミコトも中堂も他人には言えない過去があるけど、少なくとも中堂にとってそれは「過去」ではないのだろう。
じゃあミコトはどうだ?となるよなぁ。中堂と同じ立場にたったなら、法医学者として自分も同じことをするかもしれないと言ったミコトはどうなのか。
自分の過去について「同情されたくない」と言うミコトは中堂に「同情なんかしない、絶対に」と言い切った。
そのミコトに中堂は改めて、どう応えるのだろうか。
それはそうと前回の六郎に対するイケテツの含みある目線は「本来の目的を忘れてんじゃねーの?」ってなことだったようですが、でもやっぱりそれだけじゃない感じがあるよねぇ・・・。六郎がブログに書いた記事に目を付け編集部に引き入れたのはイケテツだろうけど、ネタを仕入れたら金を払う歩合制ではなく給料を払ったうえでUDIに送り込むってことは何か明確な「目的」があってのことだろう。それは一体なんなのか。
そしてミコトを守るためだけなのかそれだけじゃないのかわからないけど、鈴木さんの写真を撮って記事を書く六郎の内面も思ってる以上にぐちゃぐちゃしてそうで、それがどこへ向かうのか、今回で一気に不安感が増したわ・・・。